第3話 女子力強めのおっさん

 もうすぐクリスマス……。


 案外ロマンチストな私は「今年こそ、クリスマスイルミネーションを拝みに行きたい!」と旦那へ懇願してみたが、例年通り近所のショッピングモールで誤魔化されそうだ。仮にそうなった場合、ディナーは帰り道の味噌ラーメン屋一択となる。


 今回はそんなクリスマスになんの興味も無い旦那の「女子力」についてだ。


 彼の朝はケールドリンクやスーパーフード(今はチアシード)から始まり、そして何があろうとも必ずミ○ブルシャワーを浴びなければならない――勿論、昨晩も入浴済である。


 朝食は砂糖不使用のジャムを塗り、シナモンをふりかけたパンと、ジャスミンティーorトマトジュースを私が用意している。


 客観的に見れば「意識高い系女子」のルーティンかと思うが、これを40過ぎのおっさんが毎日ガチでやっているのだから、何とも言えない……。


 夜もまたゴルフのスイング練習終えた後、入浴からの頭皮マッサージに、ヨーグルト、りんご酢、ビタミン剤の摂取等々、とても忙しそうだ。


 更に彼の場合「潔癖症」も併発している為、生活を共にする人間は精神的にも肉体的にも中々の負担を強いられる。


 それでも大黒柱を支えるべく協力するのが、普通の家族かなのかもしれない。

 しかし、そんな夫に負けじと問題を抱えるのは「超意識低い系」の妻(私)であった――。


 今現在、私は自分の容姿に関心が無い。

 つまりは女子力「0」だ。


 服は年に1、2着しか買わないし、髪も面倒な時はおじさんに混じって1000円カットで済ませている。ネイルも塗らず、スキンケアはジェルのみで化粧は5分も掛からない……そんな『美』から遥か遠い世界で生きていた。


 だからこそっ! 彼の細かい要望に答えるのが、それはもう面倒で仕方がないのだ!


 本日もおっさんは美白美容液を顔に塗り、2万円もする美顔ローラーを鼻唄混じりに転がしている。


「一体何を目指しているのだろう?」


 いつの日か真顔で聞いてみたいと思う。



 単なる愚痴になってしまった……申し訳ない。でも、ちょっとスッキリした。


 彼の「度を越す潔癖症」についてはまた、ストレスが溜まり次第書こうと思う。

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