第2話 シチュー問題

 たまたま夕飯にホワイトシチューを作ったので、ちょっと思い出した。


 ご飯にシチューをかける派か? それとも、かけない派か? 

 

 恋人や夫婦間でこの意見が食い違ってしまうと、まあまあという事実を、今回はお伝えしようかと思う。


 その昔、私が初めて旦那にシチューを提供した時に、問題は発覚した。


 まず、彼が取った行動は「二度見」だ。

 そして私とシチューを交互に確認しながら、不安げに言葉を発した。


「大丈夫か?」と。


 後に聞くと、あの時は私の情緒がのではないかと思ったらしい。


「……はっ? 何が?」


 私は別に、機嫌も具合も悪くはない。


 ただ、まきお家の定番メニュー「シチューがけご飯」を食卓に並べた――それだけだ。


 しかし、そこが問題だった。

 彼は「断固としてかけない派」だったのだ。


 もっと詳細に言えば、彼の世界には存在すらしない、新たなる境地。

「妻がバグった」と考えるのも、無理はなかった。

 


 後日、数人の友達や同僚に意見を求めた結果は、私の惨敗だった。しまいには「嫌がらせにならないか?」と、ハラスメント疑惑まで飛び出した。


 それから今日までは、彼の皿のみシチューと白飯を分けている。


 しかもこの手のタイプはシチューはおかずにならない(どうやらスープの部類らしい)ので、もう一品料理を作らなければいけないのだ。


 ……めんどくさっっ!


 ちなみに旦那の実家では、シチューと一緒にカレーを毎回出していたらしい……。


 何としてもそれだけは、拒否をし続けている。

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