第12話 悲報・・・ダンジョンにて希羅沢死す...
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■ 悲報・・・ダンジョンにて希羅沢死す...
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ポーションをきっかけに講習で知り合った女子高生とパーティを組むことになった信二、アクティブに攻略するつもりはサラサラなくある程度の日銭を目指してダンジョンに向かうのだった。
二人パーティでダンジョン攻略を開始した。
この宇美ダンジョンはすでに一度攻略されているが、街から離れていて危険度も少ないために資源確保のために残されている。
最初は美和がモンスターに対応した。
美和な飛びかかってくるアシッドマウスを剣で切払ってる。
2匹のマウスから飛びかかられても臆することなく対処できている、うーん、一歩も2歩も先にいかれてる気がするが焦らずに進むしか無い。
「美和は凄いな。今度は俺が行くよ!!」
「わかった、後ろを警戒するね。」
「よろしく!!」
俺は美和のように一振りで倒す真似はまだできない、蹴りと剣刺しのコンボで倒して行く。
やっぱりかっこわるいな剣一振りで倒したいと切実に思うがそれでも今日は殆どが蹴りだけで倒せるようになってきていた。
なんか俺って剣は向いてないのかもしれないなぁ...蹴りには限界がありそうだし、槍を試してみようかなぁ...
一人先方について考えながらアシッドマウスを蹴りまくる希羅沢であった。
美和と交互に倒しながら奥へと進んでいく
「今日は結構倒したなぁ~薬草も結構集まったし、クライタドリ草が16本も見つかったのはラッキーだったね。」
「うん、そうだね。あぁそうそう、これ挙げるよ。」
そう言うと美和は首から六角形の円錐状の石のついたネックレスを渡してきた。
「ん、なんだ?、ネックレス?こんなの俺がつけるより美和のほうが似合うんじゃないか?」
「まあ、良いっておっちゃんにだって似合うよ(笑) それは私がカマキリのバケモンに足を切られたときに側にあったんだ。思わず握ったけど...
なんとなくなんだけどおっちゃんが持っていたほうが良いと思うから挙げるよ。あの、ポーションの利息とでも思ってもらってよ。」
「うーん、そこまで言うのなら貰っとくかな。」
俺は美和から受け取ると首にかけて石の部分は服の中へと入れた。
「美和、この先はもう2層への階段だ。今日はうまく行ったけど俺たちにはまだ、2層へ行くのは早いと思うんだ、最低でも1ヶ月は1層で経験を積みたいと思ってるけどいいか?」
「うん、おっちゃんに任せるよ。」
「じゃ、のんびり討伐しながら帰りますか?、後で飯食いに行こうよ。俺のおごりだ。」
「うん、ラッキー!!、寿司にしようよ。」
「OK!!、ただし回るやつな。」
「......ん...まぁいいかぁ、それで手を打つてあげる。」
「なんて奴だ....うわっ、あぐっ...」
帰ろうとしたときだった。後ろからなにか飛びかかってきて対策が一瞬遅れた。
「おっちゃん、大丈夫?」
「気をつけろ、そっちだ。。。」
ホーンラビットだった。
ホーンラビットは俺にぶつかると通り過ぎて反転して美和を狙ってる。
太ももをやられたみたいで血が流れているのを感じるが見る余裕はない。
「...ハーーッ!」
【ザシュッ】
美和にホーンラビットが飛びかかると美和はわずかに動いて交わし掛け声とともにホーンラビットの首を切断した。
「すげーっ!!、美和、お前凄いなぁ」
その時、美和の体が淡く光るのがわかった。
「あっ、んんぅぅぅぅん、おっちゃん、レベル上がったみたい。ってそれよりおっちゃん足...」
「あっ、そうだな、美和に見とれてたよ。」
美和は恥ずかしかったのか?顔を真赤にしている。
足のケガの方は大したことはなかった。かすった程度だ、これならノーマルポーションで十分だろう。
ポーションを掛けると見る間に傷はふさがった。服は修復してくれない。
「大丈夫、治ったよ。次が来ないうちにとっとと帰ろう」
「うん!!」
美和は俺の傷の治ったのを見て安心したのか返事は元気良かった。
「嘘だろう!!、美和逃げるぞ!、走れ!!」
「えっ!」
「ホーンラビットの大群だ...」
二人は必死で走った。
荷物を抱えた二人、いや、身軽でもホーンラビットのほうが絶対にはやい、角をもった牙付きのうさぎが押し寄せてきた。
「美和、左のくぼみの方に入れ!」
すぐ先の壁にはくぼみがあり、そこに行くとくぼみから10畳ぐらいの部屋へ続く通路があった。
「こんなとこあったんだ?」
「シーーッ」
俺は急いで美和の口を塞いだ。一瞬暴れようとしたがすぐに理解して首を振ったので手を話した。
ホーンラビットが出口方面に駆け抜けていく...
それを見ながらこっちに来るなよと願いながら見送る。
一団が通り過ぎたのでホッと息をついたときだった。
2~3匹のホーンラビットが気づいて突進してきた。
一匹は美和に向かって飛びかかっている。美和はその前のラビットに対応しているために間に合わない。
くそーーっ
「美和ーーっ!」
俺は美和に飛びかかりアタックした。
美和は吹き飛ばされたが、俺の腹にはホーンラビットが刺さっていた。
美和がすぐにラビットの首を切り落としてくれた。
「サンキュー!!、大丈夫だ、これくらいなら初級?、駄目でも中級があれば大丈夫だろう。」
「バカ、もう、早く治療しましょ。」
「あぁ、」
俺は出血からかふらつき後ろの壁に寄りかかったときだった。
【ガラッ、ガララララッ】
「うわぁーーーーーっ!!!」
俺は浮遊感を感じていた。いや、落下している...
何秒過ぎただろう、結構な高さから落ちているみたいだ。
こりゃお陀仏だな。
衝撃を感じた瞬間、俺は意識を失った。
「うわっ、うわっ、おっちゃん!,おっちゃーーん」
美和は穴に向かって叫ぶが返事はない、虚しく木霊だけが返ってくる。
助けを呼ばなきゃ....
▼△▼ その頃、地上では ▼△▼
地上では100匹以上のホーンラビットが溢れ出ていた。
ホーンラビットがダンジョンから出そうだとの報告を受けた協会ではたまたま遠征のついでに知人の職員に顔見世に来ていたAランクパーティがいたため、緊急要請を行った。
Aランクパーティは武器を持ってきていなかったので売り場の武器を適当につかんで防具もつけず飛び出していく!!
「みなさーん、防具~!!」
「そんな暇あるかぁ~」
職員の呼びかけに怒鳴りながら飛び出していった。
Aランクパーティに取ってはホーンラビットなど敵ではなかった。
一時間も立たずに全てが虐殺された。
幸いにして1匹たりとも市街地へ出ることはなかった。
討伐後、急遽。救助隊を編成して救助に向かった。
救助隊は他のダンジョンにも応援を要請して対応した。
その後の調査でダンジョン内にいた。ハンター32人が死亡、50人以上の負傷者を出す大惨事となった。
死亡者が特に多かった理由は運が悪いことにこの日は1層で健身エクササイズのコースが開かれていた事と宇美ダンジョンでは1層限定のライセンスが有リ武器も持たない採集組がいた、死者の大半はこの2つのカテゴリーに人たちだった。
宇美ダンジョンは攻略時に低層での魔物の発生を止めていたこともあってダンジョンの中では特に安全とされていてEランクダンジョンながら申請だけで取れる1層限定の採取ライセンスが発行されていたし、健身エクササイズも盛んに行われているダンジョンだった。
今日、ダンジョンの安全神話が一つぐずれていくのだった。
ハンターに被害が多かったのは1層で起きたために殆どのハンターもホーンラビットに対処出来なかったからだった。
そもそも通常は一層ではホーンラビットは出現しない、第二層の奥の方で出てくるモンスターだった。
「おっちゃん!」
美和は走って出口へ向かう。「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返し謝りながら...
美和の走っていく先には多くの人が倒れていた。
うずくまり助けを呼ぶもの..すでに事切れている者...
美和は立ち止まらなかっった。
おっちゃんの助けを呼びにいかなければ...
「本当にごめんなさい、ついたら救助を呼んできます。」
美和は泣きながら誤りながらそれでも出口へと心を鬼にして走った。
▼△▼ 数時間後 ▼△▼
美和と3人の救助者が信二の落ちた穴に来ていた。
「こんなところに穴があったとはねぇ...穴は真っ黒で底は見えない、ライトの光も底までは届かない状態だ。
しかし相当深そうだなぁ」
救助者の一人が近くにあったこぶし大の石を穴に放り込んでみた。。
無音に近い風切り音を立てて石が暗闇へと吸い込まれていく。。。
「1.2.3.4.。。。コーン!!、23」
落ちるまで20秒以上掛かるってことはざっと2000mはあるってことだ、残念ながら助からないよ。
「分かんないじゃないですかぁ、途中で引っかかってるかも知れません。」
救助隊員の諦めに納得の行かない美和は食い下がる。
「このライトは300m以上先を照らすことが可能です。その範囲には見つかりません。そもそも人は10mから岩場に落ちればまず、助かりません。
それにこの深さだと降りる手段も登る手段もないんです。恐らく底には空気すら無いでしょう。
生存は不可能です。」
「うわーーーーん、おっちゃーーーん...」
美和はまるで気が狂ったかのように泣いた。そしてそこで意識を失った。
美和が気を失うとそれを待っていたかのように穴自体が崩落を初めて埋まってしまった。そして穴の空いた壁さえも元通りに戻ってしまった。
「これで完全に生存は不可能だな。死亡者リストにあげておこう」
3人の隊員は信二ではなく美和をタンカーに載せて出口へと向かった。
美和が目を覚ますと知らない天井だった。
美和は協会の救護室で目を覚ました。特に外傷はなくショックで気を失っているだけなので救護室で様子を見ていたのだ。
「中西さん目が覚めました。お体は異常ありませんか?」
「......はい、私は大丈夫です。」
何処かへ電話をかけて美和が起きたことを伝えている
「中西さん、こちらを出て左に行った突き当りに相談室No11って部屋がります、そこで担当者が待っていますのでそちらへ行って下さい。
その際にIDカードや荷物もお返しします。」
「はい....」
もう、どうでも良かった。IDなんていらない。
おっちゃんがいないのに一人で冒険なんてしたくない。
もう、どうなってもいいや。
あぁ、こんなことになるぐらいならおっちゃんに体で返しておけばよかったなぁ...アハハハ、バカみたい。
【コンコン!】
「どうぞ!!」
中からは若い女性の声が聞こえてきた。
「どうぞお座り下さい。」
「..........」
【カチャ、ガタガタッ】
美和はものも言わず、折りたたみ椅子を引き出して座った。
「こちらがお預かりしていた中西さんのIDです。こちらのカードには1620万円の入金がされています。振込人は綺羅沢様です。」
「へっ、1600万?、な、なんですか?、なんで?」
美和はどうでもいい早く終わって欲しいって思ってるところに突然の大金の入金なんて一体どうなってるの
「それについては私どもではわかりかねます。綺羅沢様からの手紙がありますのでそちらになにか書いてあるかも知れません。
私どもでは中を確認しないことになっております。」
ハンターは死がすぐ隣にある職業だ。これはどんな高ランクのものでも変わらない。いつ死神が微笑むかはわからないのがハンターなのだ。
「今読んでいいですか?」
本当は持って帰ってからと思ったがお金のこともあり、気になりすぐに開封したいと思ったのだ。
「はい、どうぞ!」
中西 美和 様へ
美和、お前がこの手紙を読んでいる頃はもう、俺はいないのだろう。
正直なところ俺自身もこんなに早く逝くとは思ってもみなかった。
バカなやつだと笑ってくれ。
美和が泣くより笑われたほうが俺は楽だよ。
さて、前置きはこれぐらいにして本題だ。
俺は鑑定が使える。それもかなり高度のやつだ。日本に俺以上の鑑定持ちは存在しないと言えばわかるだろうか...
そんな訳で美和のB.W.Hや処女だってことも知っている。もっと詳しい事も知ってるぞ!
また、話がそれたな、おっさんだから勘弁してくれ。
そういう訳で美和の家庭の事情も知っている、美和が家を出て独立したいことも...
金は美和が独立する資金として使ってくれ、お前は未成年だからそのままではまた、家に搾取されかねないので未成年者後見人を立てる必要がある。下に書いてある弁護士に相談しろ、後はうまくやってくれるはずだ。
そうそう、マンションもお前にやるよ、よかったら住んで欲しい、ボロマンションなんかいるかって思うなら売って足しにして欲しい。
アディオス アミーゴ
最後に、ハンターは辞めても続けてもいい、美和の好きにするといいよ。ただ、俺が死んだから止めるというのだけは辞めて欲しい。
俺のロッカーの私物で使えるものは使っていいし、要らなければ捨ててくれ...
そうそう、この遺言は美和が読み終わったら協会に見せてコピーを取ってもらって下さい。
この遺言書はハンター遺言特別執行制度を利用します。
「うっ、うっ、うぅぅぅっ、うわーーーん」
「ちょっ、ちょっと中西さん...」
美和は手紙を差し出した。
「いいんですか?、拝見しますよ。良いんですね。」
そう行って見始めた。
読み終わると担当者まで泣き出した...
「あなた達、なにをしてるんですか?」
「主任、これ...」
「うっ。。優しい彼氏さんだったんですね。」
主任までつられて涙を流しいるのを見られないように拭っていた。
ちなみに主任は彼氏と勘違いしていた。まあ、普通はおっさんが組んだばかりの女子高生に残す訳はないからな。
※ハンター遺言特別執行制度
ハンター遺言特別執行制度とは制度を利用して遺言を残しておくと遺言のとおりに執行される制度、通常の遺言と違うのは遺留分など発生しないし、借金があっても残った資産から取り立てることも出来ない。
受取人に任意のお願いすら禁止されている。
遺体の上がらなかった信二の場合通常、法的な正規の死亡認定は3年後になるがハンターがダンジョンで失踪した場合はハンター協会が状況を見て判断し死亡と認定される。遺言の執行は協会が死亡と認めた時点ですぐに執行される。
これは家族等に不便が生じないための措置として運用されている。
そもそも現在までに協会が死亡認定して生きて戻った例はない。
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