第17話

朝起きて仕度をして家を出た。

ブレスレットは悩んだけどそのまま腕に付けておいた。



お守り感覚で。



そこまで目立つ物でもないから大丈夫だとは思うけど。


「おはよう遠江さんじゃなくて、さらお」

「おはよう南沢さん」


教室のドアを開けた瞬間、彼女、南沢さんは私の目の前にいた。そして挨拶を二人交わす。


「……さらお。だめ。昨日誓ったじゃないのー」

「…………え? 何だっけ?」

「ほら……OYDの誓い」


んもーと言いつつ彼女は私の耳元でそんな言葉を話した。

ええと…………おおわいでーおーわいでー。


おにやまだ…………反芻して思い出した。


私たち3人。

生まれた日は違えどって奴だ。

そいで3人は誰だっけか…………忘れた。


「あぁ、おはよう……えちか」

「うん、よし!」


にぱっと南沢さんは笑顔になった。

3コロ目。


あ、えちかさんか。


「おおっ……さらお。昨日までしていなかったアクセが腕に……」


「あぁ、ええと……うん、弟に貰ったの」

「へぇー。さらおは弟がいるのね」


「うん、一応ね…………」

「…………そう。複雑そうね」


…………意外にえちかは鋭い。


あ、意外でも無いか。


なんせ私のおしりを見破った人だし……。

未だに理解出来ないわたし。




……おしりを見破るって凄い言葉だね。




「小さい葡萄がちょこっと付いていて可愛いわね」

「あ、私もそれは思った」

「でも少し…………」


「ん?」

「あ、気のせいかしらね。何でも無いわ」


えちかさんはそんな感じでブレスレットを見た。

私は気になって聞いてみると。


「いや、あのね……余り見かけない作りの腕輪だと思ったのよ」

「そうなの?」


「んー。ちょっと触らせて……」

「……はい」


とえちかは言って腕を出している私のおしりを触ってきた。


「そっちじゃないー」

「…………あぁ、違った!」

「んもうー」


次にえちかは腕に付いているブレスレットを触り一言。


「……………………コレ、やっぱりあり得ないわね」

「…………? もしかして高いの?」


「…………………………あ、いや、そうね。高いでしょうね」

「そなんだ…………」


「あ、あのね……さらお。その腕輪。材質が解らないのよ」

「え? そ、そう? ホラ、銀とかじゃないの?」


「…………違うわ、断言してあげる」

「…………なんだろうね」

「解らないわ――――――――」


聞くとえちかの祖父は学者さんで、石とかを調べる人らしくえちかも石に詳しくなってしまったらしい。


しかし……そんな彼女が解らないと。



「……不思議だね」

「………………うん」


学校にブレスレットとか先生に注意されそうとか思っていたけどそんな事は無かった。


何故だろう。

多分、このブレスレットには意味があると思うんだ。

あの弟が私に渡した物だから。


意味が無いとは思えない。

今度、従兄妹のお兄ちゃんに聞いてみよ。


ごじからのメッセージとかなんかだったらって思って急ぐことに決めた。今日行こう。


見せたい物が有るんだとお兄ちゃんにはメールをしておいた。

「解った今日は早めに家に帰っとく」と直ぐにメールは返信されていた。準備完了。



「えちか、また明日ね」

「……あら、今日は早いのね、何処かへ行くの?」


「うん、コレについてもしかしたら解るかもって人に今から会いに行くの」


「………………私も行って良い?」


えちかに腕を見せながらそう伝えると彼女はそう答えた。


「……うーん」


「あごめん、さらお。そのブレスレットには私も興味あってね、もし解る人がいるなら知りたくって」


「ふむー。……うん、聞いてみる」


お兄ちゃんにメールを送ると秒で返信が来た。

高速過ぎる。


「良いって。一緒に行こう、えちか」

「ありがとう。さらお」


急遽二人で従兄妹のお兄ちゃんに会いに行くことになった。

何か解ると良いね。

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