第12話
今日の授業は程よく終わった。
今日も勉強凄く頑張った私。
その先に飴があると頑張れるのだ私。
現金な奴め。ふふふ。
「今日も終わったね。私は今日もバイト有るから帰るね、また明日。遠江さん」
「――――うん、またねー南沢さん」
桃ちゃんまだかなー。
なんとなく机の中の整理をしながら今日の相方を待つ。
鬼山田くんはもう帰ったみたいだね。
クラスのみんなも教室から大分減った。
まだかなまだまなー。
言えてないよお。
「…………お待たせ、さらお」
「だいぶまってたよお桃ちゃん、メイド喫茶早く行こ」
――――。
何人か、瞬間にこちらを気にしたというか、振り向いた。
メイド喫茶は強いね。言葉が。
クラスに人が多かったらざわついたかも。
「メイド喫茶では無いよ? さらお」
「ああうん。解ってるけど解ってなかったよ」
「まぁ良いか、行こう」
場所は地元の駅を越えて更に5つ先の駅から歩いて徒歩五分ほどの場所にあった。
ふーん、1階はお花屋さんで2階がそうなんだ。
エスカレーターであがって到着。
なるほど、ファミレス。
レストランぽい感じ。
入り口には自動ドアがあり桃ちゃんに付いていく様に中へと入っていく。
「いらっしゃいませー」
「おはようございます、たけのさん。今日は食べに来ました」
桃ちゃんがカウンターにいるメイドさん風の女性と話している。お店の雰囲気はうん。
レストランだね。
カウンター下にはショーケースがあってケーキが並んでいる。
わぁー。どれも美味しそうだなぁ。
見ていたら桃ちゃんに行こうと窓際の明るい席に座った。
お店の中は結構広く見える。
時間が中途半端な事も有るためか、まだまだお店は空いていた。
「メニュー見てみてよ」
「あ、うん…………」
大きめのメニューを開き見てみるとハンバーグとかスパゲッティーとかのメニューが目に入る。
ふむふむ。
雰囲気はアメリカンだね。
どれにしようかなぁ。
ふと値段が目に入る。
………………むむ。
……………………むむむ。
…………。
「こ、コーヒーが美味しそうだね……」
「ねっ。結構高いでしょ……コーヒーは500円だよ。アメリカンならおかわり自由。それ以外はおかわり出来ないよ」
「じゃあそれで。桃ちゃん好きなの頼んでよ……………………」
「解りやすいなぁ、さらおは。従業員割引があるから此処は私がおごるよ」
「お、お金はあるんだよう。……でも腰が引けただけなのん」
「うーん、じゃあ従業員割引を使うで奢って貰うね。殆どが安く食べられるからさぁ」
「わぁ。ありがとう桃ちゃん、だいすきだよう」
こんな美味しそうなのが安く…………凄いね。
アルバイト。
「働いてる時間帯だと三割位なんだよね。従食としてね」
「凄い。どれも食べ放題だ…………あ、おすすめとかはある?」
「おすすめは和風Sけ…………ハンバーグステーキかな。結構高いけど。あ、パティーメルトなら少し安いよ、パンだけど。後は……無難にケーキとかパイはどれも美味しいよ。それとアメリカンならおかわり自由だから良いかもね」
「ふむふむ。うーん。悩むなぁー」
「結構種類あるからね」
メニューの前に悩む私。
周りを見ると結構、あれ…………けっこうスカート短くない?
「ねえ……桃ちゃんもあのウエイトレスさんの制服着るの?」
「え…………あぁ、そうだよ。……さらおもバイトする? 何なら紹介するよ」
「うっ。ううんとね、私には敷居が……」
あれ、でも私チャンネルではそれ以上の事してなくない?
「…………慣れるよ?」
「……………………か、考えておくね」
注文を頼み終わりお料理を待つ。
ウエイトレスさん何人ぐらい居るんだろう?
あの人スタイル凄い良さそうだなぁ。
あんよも長いし…………でも何だろうあの目に見えな……いや、見えるオーラは?
「ウエイトレスさん綺麗な人多いねー」
「あぁ、今日はあの人が居るからかな」
「うん?」
「あそこのスタイルが良い人ね私たちと同い年だよ。さっきのカウンターに居たたけのさんの知り合いみたいで最近になって来たんだよね。名前はあおばさん」
「な、何か……何というか、気のせいかな? 人からオーラが見えるんだけど?」
「…………そうだね。凄く強いらしいよ」
「う、うん。確かに強そうだね……」
「さらおもスタイル良いわよね」
「え……そんなこと無いでしょ」
「そうなんだけど、腰回りからおしりにかけてのラインは中々……」
「うっ……せめてそうなんだけどは要らないのに」
ああ、そうか、ウエイトレスさんを見に来る人もいるのかなぁ?
なるほどねぇー。
あ、あれ……あのウエイトレスさん…………。
「お待たせしましたー…………って、遠江さん? と、ももちゃんだ……」
「南沢さんだ…………」
「…………ん? そっか、二人ともクラス同じか。気にしてなかったよ。今日はえっちゃんもいたのか」
「……えっちゃん?」
「……ふふ。私の名前コレなんだ」
胸に付いたハートマークを象った名札には『えちか』って書いてあった。
そう言えば私、南沢さんの名前知らなかった。
……と言うか南沢さんのバイト先って此処だったんだ。
「まさか桃ちゃんと同じ所でバイトしてたなんて……」
「世間は狭いね」
「あ、っとお料理、置いておくね。でわでわ……」
南沢さんは直ぐに行ってしまった。
届けてくれたお料理はとっても美味しそうだ。
「コレとコレは私で、こっちと……」
桃ちゃんはお料理を分けてくれた。
ふむふむ。これがパティーメルトかぁ。
パンの中にハンバーグ…………あれ、じゃあハンバーガー?
いやでも食パンにハンバーグ。
ホットサンドみたくプレスしているのかなぁ?
なるほどなるほど。
それにチーズに玉ねぎだね。
桃ちゃんはプレーンオムレツとパンとコーヒー。
デザートにバナナのパイ。
私はパティーメルトにコーヒー、そしてデザートはチョコレートパイにした。
「桃ちゃんはオムレツなんだね」
「そこまでお腹、空いてなかったのと今日、厨房の方で新人さんがいるみたいだから、練習台がてらにね」
「ふーん。そなんだ……面白いね、そういうのって」
二人でいただきますをして食べ出した。
私はナイフとフォークと手掴み……悩みつつむんずと掴んでほおばった。
んまんま……お。美味し。
「そうだね。結構、変わっていると私は思うよ」
「そっかそっか。良いね、仲間って感じが……」
「まぁ――――そうだね。此処では高校生から大学生のアルバイトの人が大半かなぁ」
「大学生…………大人だ」
「……人に依ってはね」
「…………大人だ」
「いやいや……私はまだまだ子供さま。おこさまだよ」
「そっか、良かった……置いて行かれちゃうよう。……気がつかない間に」
「……それはさら――――――――いや、何でも無い」
少し言葉が小さくて途中、聞こえなかった。
「――――コーヒーのおかわりどうですか?」
「あ、南沢さん」
「……よろしくー」
「あ、私もー」
「はいはーい」
南沢さんは丁寧にコーヒーを淹れてくれた。
たっぷりと。
次に桃ちゃんのカップにコーヒーを入れて次に少し離れて鬼山田くんのカップにコーヒーを淹れてい…………ん?
「おおおおおにおにおにお、おにが……」
「どうしたんだいさらお? 鬼ヶ……島がどうかしたん?」
教室の感覚だと机2個分ぐらい離れた距離に鬼山田くんは座ってコーヒーを飲んでいる。
おかわりで……。
あれあれ?
何時からいたんだろう?
私たち来た時は居なかったよね???
桃ちゃんはこっちを向いているから微みょーに解らないっぽい。
仕方が無いのでジェスチャーで状況を伝えるが、鬼山田くんにもその顔芸らしきジェスチャーが見えてしまう。
恥ずかしいの余り立ち上がり腰に手を当てコーヒーをぐいっと一気飲みしたけど状況は全く変わらない。
しかも何故立ったし自分……。
「をぉーなるほど……」
何かを理解した彼女……桃ちゃんはくるっと振り向き鬼山田くんにこう話した……はわわわ。
「良ければ――――――――ご一緒しませんか?」
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