第5話早希と赤鼻(2)

5


0:ある日のこと


早希:・・・はぁ


健太:早希?眠いの?


早希:あ、ごめん、最近仕事忙しくてさ


健太:大丈夫?疲れてない?


早希:大丈夫だよ健太も仕事頑張ってるもんね


健太:そうだけど、早希は無理しちゃだめだぞ?


早希:ううん、本当に大丈夫だから


健太:そう?


0:そしてある日のこと


早希:・・・


健太:早希?


早希:・・・え?


健太:本当に大丈夫?


早希:・・・うん、グスンっ


健太:・・・どうしたんだよ、なんで泣いてんの?


早希:・・・わかんない、わかんないよ・・・


健太:とりあえず、落ち着こ?今日のデートは無しにして休もう


早希:やだよ!健太がそばに居てくれないと・・・私、死んじゃう


健太:・・・じゃあ俺のそばにずっと居てよ


早希:・・・うん


0:さらに月日が経つ


健太:早希?おはよ


早希:うん


早希:・・・うっううぅぅ〜〜(泣く)


健太:早希・・・


0:健太は早希を抱きしめる


健太:最近いつも泣いてるじゃん、どうして欲しいの?


早希:わかんない


健太:わかんなくないでしょ、仕事辛いの?大変だって言ってたじゃん


早希:わかんないんだってば!


早希:もう離れてよ!


健太:・・・早希


早希:みんなそうやって優しいフリしてなんなの!


早希:壊れ物は優しく扱うってことだよね、私はどうせ弱くて惨めだよ


早希:もうみんな大っ嫌い!!


健太:・・・それでも俺はそばに居るよ?


早希:・・・うっううぅ〜


早希:・・・健太


健太:ん?


早希:・・・だい・・・


健太:早希?早希!?ねえ、どうしたの!?


0:早希は倒れてしまった


0:原因は仕事のストレスによる、過労。早希は病院に運ばれ病室で寝ていた


早希:・・・ん


健太:早希!


早希:・・・健太


健太:よかった、無事だったんだ


早希:健太に会いたい・・・


健太:・・・え?


早希:あなた・・・誰ですか?


健太:な、何言ってんだよ


早希:健太に会わせて


健太:俺だよ!健太だよ!


早希:いやだ!健太に会いたい!


健太:・・・早希


早希:健太・・・健太!!


健太:早希!!


0:健太は早希を抱きしめる


早希:・・・けん、た?


健太:うん、俺が健太だよ


早希:なんで、ここに健太が居るの?


健太:・・・ずっと早希のそばに居たよ


早希:・・・なんで健太を一瞬忘れちゃったんだろ


健太:最近早希の様子がおかしかったからかな


早希:ごめんね、本当にどういうことかわかんない


健太:一瞬忘れてたとしても、なんで思い出せたんだろうね?


早希:なんか、健太に抱きしめられた時、全部思い出せたの


早希:私にはわからないけど、健太の温もりで思い出せた


健太:早希・・・よかったよ


0:翌日のこと、病院で早希と健太は会う


早希:健太


健太:早希、よかった、覚えててくれたんだ


早希:・・・うん


健太:今日はとりあえず安静にしような


早希:ねえ、健太


健太:ん?


早希:・・・手帳にさ、デートの予定書きたい


健太:うん、いいよ


早希:12月10日は駅に集合ね


健太:うん


早希:そしたらその次の日は付き合う前に行ったショッピングモールに行こ?


健太:・・・うん


早希:んで、この日は


健太:早希?


早希:ん?


健太:何かあったの?


早希:・・・


健太:確かに手帳に予定書くのは早希がいつもやってる事だけど、こんな先のことまで書かなくても


早希:いや、ダメだよ、書かないとダメ


健太:どうして?


早希:・・・私、もしかしたらね、いつかわからないけど


早希:記憶が無くなるかもしれないみたい


健太:・・・え?


早希:過労で倒れた時に脳に異常があったの、記憶を記録する機能が低下してる


早希:そしたらそのうち、長期的な記憶が抜ける可能性があるみたいだよ


健太:・・・なんだよ、それ、長期的な記憶って何年まで?


早希:・・・5年以上、らしいよ


健太:5年以上・・・早希と俺、まだ会ってないんじゃ


早希:どのくらい記憶出来るかはわからない、もしかしたらまた健太の事は覚えてるかもしれない


早希:でもさ、もし私の記憶から、健太が居なくなっても健太は私のそばに居てくれる?


健太:・・・当たり前だよ


健太:俺は早希のそばにいるから、早希は記憶が無くなっても、また俺の事好きになってくれる?


早希:・・・うん、もちろんだよ、私は何度だって健太に恋したい


早希:だから私のそばにいてね?


健太:うん、ずっと一緒にいるよ!


健太:早希がまた俺を好きになってくれるんだったら、早希をずっと信じるよ


早希:ありがとう、私も健太のこと、信じる


健太:早希が俺を忘れたとしても、またしつこいくらいに早希にちょっかいかけてさ


健太:12月24日、またあの場所で、早希に告白する


健太:早希を幸せにするのは・・・赤鼻の健太だよ


早希:・・・うん、待ってるね


早希:赤鼻の健太

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