第7章 ジンギレイチチュウシンコウテイ、新たなる力1

第七章 ジンギレイチチュウシンコウテイ、新たなる力


目次

1.ジンギレイチチュウシンコウテイ

2.所変わって市立大波中学校2年C組教室

3.病院へ行こう

4.新たなる力

5.『コウ』


登場人物紹介

七芽祐太郎(14) 魔法少女にされてしまうオデコ少年。

白銀卓斗(16) 祐太郎の先輩。眼鏡男子。

須賀栞(14) 祐太郎が気になっていたクラスメイト。中学生にしてはおっぱいが大きい。 

武者小路秋継(30?) 祐太郎を魔法少女にした元凶。変態紳士。


前回までの魔法少女ナナメ!

中学二年生七芽祐太郎は『魔法生物及び現象による災害防止対策特務機関』通称『魔特』の武者小路博士に魔法適正を見出され、怪しげな科学の力で魔法少女ナナメにされてしまい、魔法でしか対処できないMIDという脅威と戦っている。

気になる女子須賀栞はやたら事件に巻き込まれ、憧れの先輩白銀卓斗には正体を隠すためにキスしてごまかす羽目になる。ついでにいうと母真実那は初代魔法少女。とてもつらい。


1.ジンギレイチチュウシンコウテイ

「パワーアップだよ!ナナメ君!」

「唐突になんなんですか!それに僕今は祐太郎ですからね」

『魔特』本部である武者小路邸に呼ばれた祐太郎。今日は変身する前の男の子の姿のままである。ふかふかのソファで高級そうな紅茶を飲みながら自分を呼びつけた武者小路博士を待っていたところにこれである。

(うう・・・、今日もテンション高いしなんかクルクル回って盛り上がっているよお・・・)

「ナナメ君の魔法の技術や使い方、判断力は確実に向上している!しかし出現するMIDも強力になっていることも確かだ!ふがいなくも君を危険に晒してしまったのは私の不徳のなすところ・・・マッミーナさんにも合わせる顔が無いよっ!」

祐太郎の母親に対して欲情するこのおかしな青年にはもうこのまま母親に近づいて欲しくないなあと祐太郎は思ってしまう。

「だが開発したよ!汚名返上名誉挽回!言語道断問答無用!魔法少女ナナメ君をパワーアップさせるジンギレイチ・チュウシンコウテイ・システム!

様々な感情や通過儀礼を(この場合は強制的に早回しで)体験することによって魔法少女として一段階も二段階もレベルアップするシステム。原理としてはナナメ君が魔法を使う時に補助してくれるデバイスやプログラムを最適化して効率化するために、我が『魔特』が所有するスーパーコンピューター『KAMUI』が必要とする情報を補完するシステムだよ!」

「ジンギ・・・なんだか難しいです・・・」

博士の言葉の聞き慣れ無さと勢いと早口加減に頭を抱える祐太郎。

「要は君の経験、体験をコンピューターで分析して君の魔法が強くなるということさ!後はコンピューターの求める体験を意図的にクリアしてシステムを完成させればいいんだ。私が伊達や酔狂で君のことをいじくり倒していたかと思ったかい?」

「ええ。とても」

博士は祐太郎の言葉は意に介さず、自らホワイトボードを運んできて文字を書きだした。

「ジンギレイチチュウシンコウテイを具体的に表すとね、『神疑零恥チュウ親コウテイ』。既に半分以上クリアしているんだ。 

『神』のような才能を持った私との邂逅、あまりにも全能である私への懐『疑』。魅力的とはいえ実の母に性感まで刺激されるMPオイルマッサージを受けた時の喪失感、まさにライフ『零(ゼロ)』。歯医者さんプレイによっての男性との急接近による羞『恥』。白銀卓斗君との『チュー』」

「なんでそこだけカタカナなんですかあ!」

「では熱い『CHU(ちゅー)』にしておくよっ!」

「もういいです・・・熱くないし・・・」

「あと親バレの『親』!」

「雑ぅ!!」

「あとの『コウ』『テイ』はこれからのお楽しみさっ!」

「なんか全部こじつけに思えるんですけど・・・」

「実際、君の魔法はシステムによって効率化されているんだよ」

「確かに同じ魔法でも、発動が早くなったり効果が大きくなったりしてるかも・・・」

「このシステムが完成すれば、その上昇率は飛躍的に伸びる!」

「それじゃあ、フリフリを着ないで魔法を使ったり、男のままでっていうのは!?」

「それで魔法が弱くなれば本末転倒だよ。それに、あくまでシステムは魔法少女ナナメに合わせてチューニングされているからね」

「そんなあ・・・」

「まあ諦めて最強の魔法少女を目指してくれたまえ。人類の平和と、私とマッミーナさんの未来のために!」

「悪用は駄目ですからね!うちの家庭崩壊はさせませんよ!」

「ハッハッハ」

「笑って誤魔化さないで~」



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