第1章 ななめ危機一髪!3.少女(?)の涙
3.少女(?)の涙
「――ハッ!」
恐怖のあまり気を失った祐太郎が目を覚ますと、そこは黴臭い牢獄の中・・・ではなく、消毒液臭い手術台の上・・・でもなく、やけに体が沈む柔らかいソファの上だった。
見上げればまばゆく輝くシャンデリア、見下ろせば靴を脱がなくていいものかと不安になるほど高価そうな分厚い絨毯(祐太郎は、靴を履いたままだった)。祐太郎は、見たことも無い程高級な内装の部屋に坐っていた。
「脅えさせてすまなかったね、『しちがや』、祐太郎君」
向かいのソファには、奇妙な男が坐っていた。
「!!」
祐太郎は自分の周囲を見回してすぐ側に自分の通学鞄を見つけると、男から自分の身を隠すようにして抱えた。しかし、いざという時に武器として振り回すにしても、それはあまりにも心もとなかった。
向かいの男は、パーティでダンスでも踊るようなタキシードの上から白衣を羽織っていた。長い髪を後ろで束ねている。
年齢は30前後だろうか。背筋は真っ直ぐしていて自信に満ち溢れている。タキシードのせいかなんとなくキザな感じがする。しかしその上に一枚の白衣という不可解さが被さっている。この部屋の中で、祐太郎を除いては、明らかにその白衣だけが浮いていた。
それよりも。男は祐太郎をフルネームで呼んだ。しかも今度は正しく。いったいどういうことだろうか。
この部屋の持ち主・・・かどうかははっきりしないが、こんな、祐太郎の想像も及ばないブルジョワな世界に関係する者が、身代金目的で祐太郎を誘拐するとは考えにくい。
(じゃあ、お父さんが実はマフィアのボスで敵対勢力に人質として選ばれちゃったとかお父さんが実は大統領秘書でテロリストに利用されちゃうとか・・・)
祐太郎の頭はかなり混乱していた。そんな慌てふためく祐太郎の姿を見て、たまりかねた男がクッ、と笑いを漏らす。
「いやあすまない、実は、我々は君にお願いがあって、今日は来て貰ったのだよ」
たいしてすまなくもなさそうに、白衣の男は言った。(そら来た!)息子の命のために父は合衆国を危機にさらすだろうかと、祐太郎はなんだかズレたことを考えていた。少々洋画の見過ぎであろう。
「本題に入る前に、君には知っておいてもらわなくてはいけないことがある。いいかな。冷静に聞いて欲しい」
ゴクリ。
もう父が何者でも驚かないぞと、状況を勝手に限定してしまいながら、祐太郎は男の言葉を待った。
「魔法は、存在する」
(ん?)
今、男は父が何者だと言っただろう。確か、「マホウハソンザイスル」と言わなかっただろうか、マホウワ、マホウ、魔法・・・
「魔法ぅ!?」
祐太郎の中の、映画やドラマ、漫画の情報から作られた「異常事態対応マニュアル」がフルスピードでめくられていく。そんな項目あっただろうか。あった、ハリー・ポッターだ。
「ででででもアレはイギリスのお話でお父さんは結局何者で――」
混乱した祐太郎はなぜか今頃国籍にこだわりだす。男はとにかく話を進めることに決めたらしい。
「発達した科学技術は、奇しくも世界には科学では説明できないことがあることを証明してしまった」
男は立ち上がると、舞台俳優のようなよく通る声で、大げさな身振り手振りを交えて話し出した。
「それは事実、『魔法』としか呼び様がなかった。非科学的な現象が、実際に我々の目の前で計測されるのだから。しかし科学は、長い歴史の中で人類が掴み取った確かな武器だ。科学的に説明はできなくとも、我々は、『魔法』を科学によって操る術を模索した。オカルト、超常現象、心霊術、気孔・・・それらに冷酷な科学のメスを入れ、『理解』するのではなく『利用』することに目的を絞り、状況的に、数値的に計測を重ねた。もちろん、調査対象となった現象の多くは信憑性の低いものだった。つまり、言葉は悪いがほとんどは『インチキ』だったのだ。だから、真偽を確かめ、吟味するとこらから研究は始まり、困難を極めた。人には理解不能、制御困難なものだからこそ、昔から畏れられ封印されてきたのだ。文献だって偽物の方が多い。しかし、我々はついに、あやふやながらもいくつかの体系を形作るに至った――」
「ええっと、ちょっといいですか・・・?」
語りながら一人感慨すら感じている男に、祐太郎は恐る恐る挙手して発言する。
「なにかね?」
「難しくてよくわかんなかったんですけど、『魔法』って結局、なんなんでしょうか」
「うむ、もっともな質問だ。具体的にはまだ何も説明していないからな。私にとって魔法の定義とは、『科学的に検出される非科学的な現象』すべてを言う。少々矛盾する表現だがね。ある種の光線を浴びつづけた物質はある粒子と反発するとか、動物の体の一部分から特殊な方法で膨大な熱エネルギーが取り出せるとか、ある鉱物を近づけるとある種の粒子が運動速度を増すとか、科学的な法則を全く無視してこういう事が起こった場合、我々科学者には、まったく魔法としか形容できない」
祐太郎には男の説明から『魔法』について何も理解することができなかった。ホウキで空を飛ぶとか、デッキブラシで空を飛ぶとか、そういうものと同じと考えてもいいのだろうか。
「まず、なぜ我々武者小路コンツェルンが、このような研究をしているのかを説明しようか」
具体的には体で覚えてもらうとして、と、気になるセリフで『魔法』についての説明を打ち切ってしまい、男は話を続ける。
「えっ?武者小路って、あのおっっきなお屋敷の!?」
――コンバインから割り箸まで。この一杯の天ぷらうどんにも、武者小路コンツェルンがいっぱい関わってるんだね。――っていうテレビCMでお馴染みの、重機・化学・食品なんでもござれの巨大企業集合体、武者小路コンツェルンの会長が街外れの広大過ぎる敷地の屋敷に住んでいるとか住んでいないとかいう噂が、祐太郎の住む街にはあった。
「いかにも、ここは武者小路財閥敷地内のラボ。私は武者小路秋継、武者小路魔導科学研究所の研究所長だ。表向きは『健康食品部門』研究所長だがね」
「ラボ?」
祐太郎が色々驚きながらも抵抗のあった言葉に聞き返すと、武者小路の背後にあった古そうな本やワインの並んだ戸棚が中央から割れて、奥から雰囲気の違う部屋が現れた。
そこは病院と工場が合わさったような乱雑さで、テレビの戦隊ものの秘密基地のような感じもした。十数人のスタッフがそこで忙しそうにしていた。中には武者小路のように白衣を着た者もいる。
(やっぱり手術台がー!)
「我々の目的は『魔法』のオートメイション化、機械装置による実用だ。ただし、特殊な目的を想定した」
一人青くなる祐太郎をよそに、武者小路は話を元に戻した。
「公表されてはいないが、我々の生活の側には魔法による脅威が存在する。
Magical(魔法的な)
Irregular(不測の)
Dangerous(危険な)
我々がMIDと総称する事態への対策を日本政府から委託されているのが、『魔法生物及び現象による災害防止対策特務機関』である、私たちなのだ。ちなみに人類に無害な魔法生物のことは、ビジターと呼んでいるよ」
「どうして、それで僕が・・・」
先程より状況は大分理解できてきた祐太郎だが、根本的な疑問が解決されていない。
「MIDに対しては通常兵器は無効、もしくは非能率的。自衛隊や警察には無い柔軟性、そして隠密性を持つ専門機関こそが必要だったのだよ!」
祐太郎の疑問には答えず、一人演説のボルテージが上がっていく武者小路。どうやら、芝居がかった喋り方が『地』のようだ。
「そこで!100万分の一人の適性を持つ君に我々『魔法生物及び現象による災害防止対策特務機関』の一員として手を貸して欲しい!!」
バーン!と効果音こそ鳴らないものの、左手を自分の胸にあて、右手を祐太郎へ差し出した武者小路のポーズがびしっと決まる。
「え・・・」
「えええ~~っっ!!?」
オチとして考えられないものではなかった。しかし、自分の身に降りかかる事態としては、なかなか受け入れがたいものがあった。自分がまさか、魔法少女になるなんて。
「どうして僕なんですか~?」
「説明しただろう?君は、100万人に一人の魔法適性遺伝子の持ち主だ」
どうやらテレビゲームのRPGでいうところの魔力や魔法防御力が高いということらしい。
(えっ!?防御力って!攻撃されちゃうの?僕!?)
「よく考えると100万人って結構微妙な数字じゃないですか?日本中に100人や200人はいそうな・・・」
「その中で君がもっとも言いくる――適性にかなっているんだ。厳正なる調査とコンピュータによる診断の結果だ、君しかいないんだ!」
「でも・・・」
「すまないが状況は、あまり悠長にしていられないことになっているんだ」
そう言い合いながらも、祐太郎は既に服を脱がされ手術台の上に拘束されていた。次々と電極のようなものを素肌にとりつけられ、ひんやりくすぐったい。
「あ、あの、でも、ですね。僕なんて頭いいわけでもないし球技はからきしだし、14歳男子の平均身長と比べると、ちょっっぴり低めだし・・・」
この状況からなんとか逃れようとして、自分で言ってて落ち込んでしまう。その間、手術台は、人間ドックで検査に使うような機械の何倍も大きな装置の前にスタンバッてしまう。
「君は自分でも気づかないだけで大きな力を持っている。自信を持ちたまえ」
目を細めながら、武者小路が祐太郎の髪を撫でる。その途端祐太郎は問答無用で装置の中に放り込まれる――
「そんなああああ~」
そんないいセリフっぽいことを言われたって困るものは困る。自分の身がこの先どうなるのだろうと心配する暇も無く、密閉された装置の中に黄色っぽい溶液が流れ込んできて祐太郎は目を白黒させた。
「えっ、ちょっ!このままだと溺れゴボッ!ゲホッ!がぼぼ・・・」
手術台に固定されたままの祐太郎はあわれそのまま溶液に沈んでしまう。当然呼吸ができず、意識が薄れかかったところに電極から微弱な電流のような刺激を感じた。わけのわからないままマッドサイエンティストの手にかかり、14歳の短い人生を終えてしまうのかと絶望しながら、祐太郎は自分の体が溶液と一体化して、ゆらゆら水のようにゆらめいいているような感覚を覚えた。
(ああ、僕もう眠いや・・・)
先程の呼吸ができない苦しさから開放されて、せめて眠るように心地良く逝けることが救いと思い、今度こそ本当に意識が消えかかって・・・
(光が――)
「げほっ!がばっ、ごぼっ、ごほごほっ・・・」
突然、息苦しさに目が覚めて、酸素を求める。肺に溜まった液体が口から溢れて、もっと、もっと空気を、うまく呼吸できなくて今度はむせ返る。
「ひゅー、ひゅー・・・」
ひとしきりむせては深呼吸を繰り返し、意識を失う前のことを思い出す。
「僕、生きて――」
ゴツッ!
「いっ・・・た~い・・・」
狭い装置の中起き上がろうとして思い切り頭を打った。なぜか拘束は解けていた。
〈七芽祐太郎君、落ち着いて聞いてくれ。今、君を装置から排出する〉
プシュー・・・
装置から排出され、濡れた素肌に外気が当たって身震いした瞬間に、祐太郎の体全体がすっぽり包めるぐらい大きなタオルが体に被せられた。
「一体何を・・・」
上半身を起こし、タオルにくるまったまま体を拭きながら尋ねる祐太郎の身体をじろじろと見ながら、武者小路は答える。
「任務のために君には、魔法の力を最大限引き出してもらう必要がある」
その時祐太郎は、ふとした、しかし何か決定的な違和感を覚えた。
「そのためのサポートは我々が完璧に行うから安心してくれていい」
体を拭くときに、妙に胸のあたりがこそばゆくてむずむずする。よくよく見ると、何かいつもと違うような。
「研究によって、より魔法の力が出やすい状況は導き出されている。より魔法の力が出る天候、より魔法の力が出る温度、より魔法の力が出る服装・・・」
自分の体だからわかる。何かおかしい。いつもの自分の体と違う。
「そしてより魔法の力が出る肉体、つまりこの場合せいべ――」
「きあああああああぁあああああああああぁぁっ!!!!」
無い!いや、違う!14年間慣れ親しんだはずの男の子の体と!祐太郎は恐怖におののきあとじさろうとして坐っていた台の上から転げ落ちた。
どすん。
「いやああああぁあ・・・」
転げ落ちた痛みも忘れて後じさろうとする祐太郎であるが、逃げようにも怖ろしいのが自分自身の体だからどうしようもない。
「君は生まれ変わった!人々をMIDの恐怖から救うため、魔法少女ナナメとして!!」
「返せ戻して僕を返してえ!」「なかなかに哲学的な要求だねえ」
タオルなど置き去りにして武者小路にしがみつき揺さぶる祐太郎。
いや、もはや彼の肉体は完全に少女である。しかも魔法少女。泣きながら武者小路の体をがくがくと揺さぶる全裸の魔法少女ナナメ。
「統計学的にも、男性より女性のほうが魔法を使うための力が強く、発現も容易で、これはもう身体の機能上そうなっているとしか言いようがない。筋力の発達した男に対抗するために身に付いた本能的な防衛力なのかもしれない。ただでさえ魔法適性の高い七芽祐太郎君が、より最適化されたのが今の君、魔法少女ナナメだ。専門的な修行も知識も無しにこのナナメは、最高峰の魔法使用者たりえるのだ!!」
「この、ン世紀の大発明家!!むしゃのこうずぃ・・・んなああああぁきつぐぅの手によって――ふぅ・・・」
自分の偉業に悦に入り感無量といった調子の武者小路は、いかにもついでのように「任務が終われば元に戻すが」と付け足した。
そこへ女性スタッフの一人がナナメの衣装を差し出したので、我に返ったナナメは自分の格好を思い出し、悲鳴をあげてうずくまった。
「なんなんですかこの服~」
用意された衣装に身を包んだナナメが情けない声をあげる。
「様式が術者の意識を支え、魔法の威力を上げる。言っただろう、ナナメの力を最大限に発揮させるのが、そのコスチュームなのだよ」
ナナメが着ているのは、ファンシーで、ひらひらで、お伽の国の住人といった感じの代物であった。つまりは白昼堂々表を歩けないぐらいのかわいい衣装なのだ。
「っていうか僕髪長っ!」
ナナメの髪は、用意された二つの個性的な髪留めによって頭の両サイドで留められていた。
「随分気づくのが遅かったな・・・。髪の長さも、魔法の力が発揮しやすいように長くしてリーインカーネイションさせてもらった」
「りーんかー・・・?」
聞きなれない言葉が出てきて戸惑うナナメをよそに、武者小路は「本当ならばもっと長いほうが良かったのだが、元素総量が・・・」などと独り呟いている。
「僕・・・やっぱりこんな格好恥ずかしくて、できません!」
「まあ待ちたまえ。君は今、七芽祐太郎ではない・・・、街の平和のために戦う、魔法少女ナナメだ!魔法少女である今、魔法を使うためのコスチュームを恥じることは無い」
「ええっと、その魔法少女が恥ずかしいんですけど・・・」
ナナメの抗議を聞いているのかいないのか、武者小路は話を進めてしまう。
「ナナメ君。最近、健康な女性が突然意識不明で倒れるという事件を聞いたかな?」
「ナナメじゃないのに・・・。えっと、2人ぐらいそんな事が起こったから、警察も関連性を捜査中ってニュースで・・・」
「実はそのケースの被害者は1人や2人ではない」
「被害者ってまさか・・・」
「そうだ。これはMIDの起こした事件だ」
「そんな・・・」
「地道な調査の結果、MID事件と断定し危険エリアを絞るのでやっとだった。実績と実戦データが無いだけに心苦しいことだ」
「所長、現場の仁木捜査員より通信です!」
コンソールに向っていたスタッフが振り返って叫んだ。かなり焦っている。
「メインモニタに出せ!」
武者小路の声にも熱がこもっている。ナナメは事態についていけないながらも緊張に体がこわばる。
〈MIDと思われる反応を50メートル以内まで捕捉したところで、目標、動き出しました!〉
大きなモニタには「Sound Only」の文字と捜査員のバイタル指数がでかでかと映し出されている。
「こちらでも反応を確認した。追跡しろ!」
〈しています、が、速過ぎる!〉
「三本木以下、付近の捜査員を全て追跡に回せ!」
「了解――」
にわかに慌しくなる場に置いていかれたままオロオロとするナナメだったが、急に鈍い頭痛を感じてうずくまる。
「どうした、ナナメ君――」
発泡スチロールを擦り合わせたような不快な、高音域の騒音を浴びたような。
しかしそのような音源は部屋には見当たらない。――もっと高い位置から――ナナメは顔を上げた。大きなモニタが目に入る。そう、繋がったままの捜査員の通信の向こう側からそれは響いて来たに違いなかった。
〈路上に倒れている女性を発見!〉
ナナメの視線を追ってモニタを見上げたところに通信が入り、武者小路はナナメを振り返って凝視した。しかしはたと気づいたように声を飛ばす。
「様子は!」
〈映像、送ります!〉
次の瞬間モニタに映し出された映像を見てナナメは息を呑んだ。暗闇の中捜査員にライトをあてられた顔はひどく青白い。
「須賀さん!」
「なんだって!?」
倒れていた少女がナナメのクラスメイトだと聞いてデータが照合される。同時に捜査員の携帯する検査装置で調べられた須賀の状態が送られてくる。
「データ照合完了、市立大波中学校2年C組所属、須賀栞本人と確認」
「バイタル、MPともに低下、これまでの被害者と比べ軽微。命に別状はありません」
「追跡に気づいて途中で逃げたか・・・」
「これまでのデータから、MIDの摂取エネルギーは不充分、次のターゲットを狙う可能性81.2%です!」
「あのっ!須賀さんに何があったんですか?大丈夫なんですか?」
ナナメは武者小路にすがりつく。
「今回の事件の原因であるMIDは・・・、動物の魔法力を自らの活動エネルギーとして吸収する生物と思われる。蚊やヒルが血を吸うように。ただ、その量が蚊のようにかわいいものではないこと、魔法力と一緒に生体エネルギーまで吸い取ることが問題だ。魔法力は生物の体内に自然と蓄積されるもので、普通の人間が吸い取られたところでそれほど問題ではないが・・・生体エネルギーは別だ。今までこのMIDの本能のままに吸い取られた人間は、極度の衰弱状態に陥っている。人間の女性が狙われるのは、魔法力の質と量の問題だろう」
「なんでそんなモノが・・・」
「今は『なんで』より『どうするか』だ。聞いた通り君の友達は他の被害者ほど重傷じゃない。だが、次の犠牲者が出る可能性が高い。それを防げるのは君だ。・・・力を貸してくれないかい?」
七芽祐太郎の心は揺れた。MIDなんてわけのわからないもの、正直おっかないことこの上ない。しかし――モニタに映る須賀栞の青白い顔を再び見て、ナナメは背筋を伸ばし武者小路を見上げた。
「今の僕にしかできない事があるなら・・・、僕にできる事があるなら、教えて下さい!」
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