第19話 冒険者ギルドでテンプレに遭遇
馬車に揺られること10分。
冒険者ギルドに到着した俺は、馬車を降りて入り口に向けて歩きだした。
冒険者ギルドの周りには街の警備隊が厳重に警備しており、勿論俺に対しても本人確認をされてなんとか中に入ることができた。
中には待ってましたと今回見学するAランク冒険者やギルドマスターが待ち受けていた。
ギルマスは御年50歳の髭が似合う男性の元Sランク冒険者で、母とよく依頼を一緒にこなしていたらしい。
「お久しぶりですギルマス。今日はよろしくお願いしますね」
「あぁ、セイル君なら楽勝だと思うが油断はしないでくれ。グレンのやつはもう会場で待っているよ」
「わかりました。ほどほどに頑張りますよ」
ギルマスとは母経由で前から知っているが、実際の所そんなに強そうには見えない。
母曰く「父とはまた別で気が合う人」らしく、仕事に対して効率を求める人とのことだ。
いつか戦ってみたいな。
会場の訓練所に向かう道を歩いていると、今回見学に来ているAランク冒険者達の声が聞こえてくる。
魔力操作で声を拾ってみると、どうやら俺の話のようだ。
「なぁ、今回の昇格試験志願者はあのフレア騎士団長の息子らしい」
「まじか!確か6歳だっけか。やっぱり化物の子は化物か」
「対戦相手がそのフレア様の元ストーカーとは何の因果か、こりゃ見ものだぜ」
そういえば母は騎士になる前は冒険者だったから知っている人が多いんだったな。
あとAランクになってくると若い年代の人は少ないか。
そんなことを考えていると、後ろから近づいてくる集団に気がついた。
振り返ると7人ほどの10代の男女が俺に詰め寄り、リーダーらしき男が話かけてきた。
「おいお前!ここはお子ちゃまが居ていい所じゃねぇ!!さっさt」
「うるさいボケ」
反射的に魔力の塊を男の胴体にぶつけてギルド入口付近まで飛ばしてやった。
奴の悲鳴が遠くなっていくのは面白かったが、勿論面白くない奴らもいる。
「リーダー!?てめぇこの野郎」
「許しませんわよ!例え子どもでも貴族に楯突いていいとお思いで?」
「俺様達はみんな貴族様だ!泣いて謝っても許さないからな!!」
こいつらほんとにAランク以上か?見る限り貴族主義のボンボンじゃん。
警備隊は何をやっているんだ?
疑問に思っていると慌てて駆け寄ってくるギルマスと警備隊の隊長らしき人がみえた。
絡んできたボンボン達と俺をギルマスが引き離すと、警備隊長らしき人が頭を下げてきた。
「お久しぶりでごさいます。我が主より今回の警備を任されてのにこの体たらく、誠に申し訳ございません。」
「あんたは確かリジェの親衛隊のボンドって名前だっただろ。今回の件は許すから、こいつら頼むな」
「もったいなきお言葉!さすが第三王女リジェ様の婚約者様です!!」
「「「「「「はぁ!?」」」」」」
こいつらまじで何も知らなかったんだな。普通王族の婚約者ぐらい情報として入れておくものでしょ。
まぁこいつらは常識にすら頭に入っていないから無駄か。
どうやらボンドの話によるとこの集団は冒険者登録に来たらしく、貴族だからと無理やり突入してきたそうだ。
何でも俺が入れたのに自分たちが入れないのに腹がたった結果が今回の騒動に発展したんだと。
こいつらは警備隊に大人しくしょっぴかれていき、後日親たちも処罰されるだろう。
「何だか嫌な予感がするな。とりあえず細心の注意を払って挑むとするか」
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