第17話 父の秘密
俺が冒険者登録の前日の夕方、久々に父マイクが帰ってきた。
急な帰りに母も含めて使用人たちもアワアワしている。毎回だが父は前もった連絡はしないタイプだ。
帰って早々に母に怒られているが、その顔はニコニコと笑っているように見える。
母の説教の後に俺に近づいて頭をワシャワシャと撫でる父。
何だが昔を思い出す気がする。前世の記憶はないはずだからそんなことはないんだけどなぁ~
「久しぶりだなセイル。少し見ないうちに大きくなったな。」
「父様こそお疲れ様です。実は父様に頼みたいことが…」
俺の表情をみて察した父は、少ししゃがんで耳を近づけてくれた。
ここからの話は母様には話せない内容だし、何より父様の仕事に関わってくるからだ。
今日起きたグレン一家の件を父様に話すと、後で部屋に来るように言われた。久々の家族の夕食は会話が弾み、相変わらずのラブラブ夫婦を目の当たりしたりと楽しい時間は過ぎる。入浴後にメイド長から頼んでいた服をもらい、父の書斎に赴いた。
コンコン
「セイルです。父様いま大丈夫ですか?」
「おっ、早速きたな!いいぞ、入ってこい。」
父の書斎に入ると至る所に魔法陣がはられており、いかにも宮廷魔導師らしい部屋だ。元は騎士副団長だったが、今は元々やりたかった宮廷魔導師として働き、今や宮廷魔導師団長まで上り詰めている。
そのせいなのか使用人や母でさえ入れないこの部屋には国家機密にかかわる品物が多くあるらしく、この屋敷では父と俺しか入れない。
それに、この部屋なら父の本当の仕事が出来るってわけだ。
「父様、グレン一家の嫁さんと娘さんの保護をしてくれていてありがとうございます。」
「いいんだセイル。お前があの場にいてむしろ助かった。皆もそうだろう?」
父の言葉に数人の人影が父の背中から現れる。
全員が黒装束に顔を獣の仮面で隠している。
「いや~僕っちの結界に坊ちゃまの魔力が触ったときはびっくりしましたよ!」
「然り。」
「ていうかー、まじスゴイんですけどー!」
「流石は隊長の息子様です。私しは大変に感激しております。」
個性溢れる面々なのだが全員がかなり強い。個々の力だけなら俺でも勝てるが、この人達の強みはもっと別にある。
「それで?何を頼みたいんだセイル?俺達に頼むくらいヤバい仕事なんだろ?」
父様の言葉に部屋の空気が一気に冷たくなる。そこにはいつもの優しい父の姿ではなく、全くの別人といってもいいほどの風格がある。
俺は意を決して話す。なぜならこれは父達にしか出来ない案件だから。
「父さん達、いや国家暗部・特務部隊にある人物を拘束してもらいたい!!」
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