第12話 情報収集
「さてさて、対戦相手の冒険者を探さないとな。」
自宅への帰宅途中の馬車の中で俺は考えた。おそらく考えられる条件は3つ。
まず1つに王命であるため、必ずこの王都内にいること。2つ目に俺と同等の実力者であること。最後に俺が会ったことがない人物であることだ。
おそらくこの条件で探せば誰かしらヒットするはず。
俺は《魔力制御》で馬車内に防音の結界と《念話》スキルを発動し、ある人物に連絡をつけた。
『鬼車のじっちゃん、今大丈夫か?』
『ん?あぁ…セイルの旦那か?こんな真っ昼間に呼んだってことは仕事かい?』
『ふっ…そうだよ。まだその様子だと酒は飲んでないな?緊急の案件だ。』
中年男性の気の抜けた返事に少し安心した。
俺が連絡したのは元大泥棒の鬼車の六じいさんという60後半の男性だ。
3歳の頃に国王様に頼まれて夜中に民家の上で殺りあい、自分の駒として手懐けた頼れるじっちゃんである。
『3日後に王都の冒険者ギルドで俺と戦う冒険者の情報を詳しく知りたい。詳細は今から送るから明日中に頼むよ。』
『あいよ!報酬はいつもので頼むよ旦那!!』
『あぁ。相手は相当の手練だ。慎重に頼むぞ。』
念話を切るとすぐさま馬車に常備してある紙を使い、指に魔力を集中させてインク代わりにちゃちゃっと書きあげると、その紙を馬車の窓から落とした。
先程の《念話》で居る場所は把握しているので、《魔力制御》でじっちゃんに届くよう遠隔で操作して届けるのだ。
魔力消費は馬鹿にならないが、今日は特にもうすることがないので関係ない。
俺は屋敷に着くまでの間になんとか届けることに成功し、情報が来るのを待つことにした。
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