第8話 刺客③

「おぉー!これはすごい!!」


防衛システムの管理室に入った俺は大興奮だった。

明らかにこの世界にはない技術で作られているが、大体の構造は見てすぐにわかった。前世の俺は生憎こういったことは専門外だが、《転生神の加護》様々である。


「どうだセイルよ。何とかなりそうか?」

「まぁ何とかしてみますよ♪」


俺は《転生神の加護》の情報を頼りに自分好みの改造に取り組んだ。防衛システムの全体的な見た目はでっかいジオラマだと思ってほしい。王城を中心にして国全土が立体映像として表示されている。本来なら人の魔力が○で出るようになっているが、今回の件で魔力計測装置が故障してただの置物とかしているな。


「これをこうして…あ、国王様!そこの四角いやつ抜いてください。」

「おう。あれ?こんなの前に来た時にはなかったぞ?」

「やっぱり。それが今回の原因ですね。誰かが細工して、魔力計測装置がオーバーフロー。つまり過剰反応して壊れたようです。」

「なんとそうか。ところで直せるのかセイル?あまり時間はないぞ。」

「あらかた終わりました。とりあえず後はヤツを倒してからにしましょう。」


さっきからコソコソ監視しているヤツがいてイライラしてたんだ。しかもこっちが分かっているにも関わらず逆に近づいて来やがる。そんなヤツにはたっっっっっぷりと地獄を味わってもらわなければ!


俺はこの約10畳ほどの部屋に充満させていた魔力を一部回収して国王の周りに集める。これは念のためにいつでも国王を守る為の物だ。

そして次に監視しているやつの自由を奪う。居場所は分かっているので、ノーモーションで行い拘束に入った。すると…


「いっででで!!何しやがる小僧!?放しやがれ!!!」

「逃げないあんたが悪い。さっさと黒幕の正体を掴まないとね。」

「ふざけるな!誰がおs…ブブォ!?」


男はまるでデカいスライムに飲み込まれた状態に拘束させてもらった。もちろん頭までずっぽり入ってもらっているよ。

俺としてもあまり時間がないから、さっさと情報を抜き取らせてもらうよ。こちとら身体年齢3歳で実年齢1歳の赤ん坊だからな。さっきから眠気がやばいねんて。


男のあらゆる穴から侵入した俺の魔力は脳に即座に入り込み、男の記憶情報を魔力にコピーさせ額から抜き取る。魔力自体は視覚出来るらしいが、それが出来るのは極一部の人間だけらしい。だからいま俺がやっている状況を国王は全く理解できていないのだ。


すべての情報を抜き取ると男は気絶して動かなくなった。別に窒息したわけではなく、重度の魔力酔いをしたためだ。男の持つ魔力の数倍もの魔力を入れられたのだから無理もない。南無三。


ふと気を抜いたら眠くなり、ふらふらする俺を国王様が支えてくれた。正直もう限界だ。


「大丈夫かセイル?少し休みなさい。後は私とお前の両親に任せるのだ。よいな?」

「わか‥り…ました。これを…敵の情報‥で…‥‥す‥‥。」


俺は手に持った情報を国王様に手渡すと、事切れたように眠りについた。

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