第6話 刺客①
俺は国王様と一緒に防衛システムの部屋に向けて移動している。
国王様は白髪で口周りの髭が異常に多い男性なのだが、まだ30歳前半なのだという。どうやら病気や先天性なものではなくスキルによる副作用だと教えてもらえた。
試しに《鑑定》で見てみると
名 レオ・フォン・エンドレス 年齢31 男性 第20代国王
称号 賢王
スキル 《継承》
・代々国王に任命された際に受け継がれてきたスキル
・今までの継承者の経験やスキルを使うことが出来る。
・デメリットとして見た目が年齢より老けてしまう。
ざっくりとだがこんな感じだ。
国王様によると老けてみえるだけで、老化しているわけではないらしい。
国王様と色々話しながら歩いてきたがふと疑問が浮かび上がる。全くと言っていいほど人に会わないのだ。普通ならば護衛の人や王城の管理人の一人や二人いてもおかしくはないはずだ。俺の不安をよそに国王様は俺にこう告げたのだ。
「安心しろセイル。私のスキルで空間を歪ませて移動しているだけだ。防衛システムは儂と宮廷魔導士の各団長を含めた5人しか場所は知らん。セイルも含めれば6人になるな。」
「もしかして対応が遅れているのは何名かの団長が不在のためですか?」
「そうなのだ。実はそなたの父と入れ替わるように調整していたのでな。迂闊じゃったわい。」
頭をかく国王様は思いのほか明るく振る舞っているようだった。俺は俺で父様は宮廷魔導士団長クラスと同等の存在なのかと驚いている。父様が頑なに自分の情報を見せないようにしていたのはこのためなのか。ということはだ、今回の暴走は内部に実行犯がいて、可能性として裏でどっかの国が関与しているということだ。もし俺が相手側だったなら次の行動は…
「む?セイルよ気をつけろ!防衛システム室に不法に侵入している輩がおる!」
国王様の声の後に勢いよくこちらに突っ込んでくる黒装束の男を感知した俺は、すぐさま《魔力制御》で身体強化と魔力放出スキルを模倣して戦闘態勢に入る。
突っ込んできた黒装束の男は国王様に狙いを付けて短剣を振りかざすが、俺が横から短剣の持つ手を蹴り上げ、放出した魔力を相手の口元に密着させる。男は悶え苦しんだ後、口から泡を吐いて大人しくなった。後は口元の魔力を縄状にして、国王様に縛ってもらって拘束完了だ。
「助かったぞセイル。どうやら防衛システム室にいるのは偽物のようだ。この男が気絶してから反応がなくなったぞ。」
「そうですか。念のため中を確認しましょう。多分他の所でも戦闘が始まっていてもおかしくありません。急いでシステムを起動させましょう。」
「あぁ。フレアとマイクを残してきて正解じゃったな。恐らくセイルが拘束した中に協力者がいるはずじゃから、きっと始末しにきとるじゃろう。」
やっぱり国王様はわざと今回の首謀者を割り出すために俺ら親子を利用しやがったな。こうなったら防衛システムを魔改造して目にものを見せてくれるわ!
俺と内心そんなことを思いながら国王様と防衛システムがある部屋へ急いだ。
一方、残されたフレアとマイクにも刺客が迫っていた。
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