第16話 一夜

 一夜が明けた。

 朝日が出るまでの間、近くの建物の壁にへともたれかけながら、何者かが来た時にすぐ逃げれるように意識はずっと研ぎ澄ましたままだったがどうやら杞憂なようだ。


 

 ゆっくりと視線を横に移すと遥がゆっくり寝息をたてながら眠っている。

 

 昨日の起きた出来事が現実離れしてて分かっていても夢なのか疑いたくなってしまうが、

遥や今いる場所を見て改めて現実だと認識をする。


 小鳥の囀りが聞こえるぐらいで辺りは逆に怖いぐらい不気味な程、静かだ。

 

 

 "とりあえず相手の出方を待つか"


 事件をいち早く真相を解明するのに初動が最も大事である。

 目撃者や現場の痕跡などから犯人の足取りを掴んだり、するのに役立つ。

 だが、それも一つのミスが出たり、遅れなどが出てしまって時間をかければかけるほど取り逃がしてしまう。

 


 しかし、初動さえどうにか回避できれば逃げれる訳ではない。

 修也が気をつけなければならないのは数え切れない程存在する、防犯カメラなどの機器、そして最も一番やっかいなのは人間だ。


 テレビや新聞や街中の紙の貼り出しを除いても現代ではスマートフォンで気軽に情報を取得が出来る。

 

 

 これから、出会う人間は俺についての情報を知っているという前提で動く必要がある。


 まぁ、今後については、、、それより、、、


 'ぐぅー'


お腹が空いた。


「へぇー可愛いとこあんじゃん」


「生理現象だ」


 先程までぐっすり寝てたはずの遥かが俺の腹の音で目覚めたのかニヤニヤしながら煽ってくる。


 「朝は強い方なのか?」


 「強い方...だと......思うよ、ていうかその用に育ってきたからね」

 


 表情は変わらないままだが、辛い過去を思い出すかのように瞳がゆっくりと下の方向に向いている。

 朝から、笑ったり辛そうな表情したり一体こいつはなんなんだ?


 「まあ、その...なんだ、朝ご飯食べにいかないか?」

 

 「そうだね!私昨日の午後から何にも食べてない」


 「そうか...さて行くか」


 他にもいろいろと考えたい事もあるしな。


 「え?追われてるのに大丈夫なの?」


 「そのことなら心配はない。考えがある。」


 

 



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本当の自分を偽り続けてきた俺、裏切られてから本性を現す @oraganbaru

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