承
ゆっくりと振り返ったところ...巡回中の警官だった。
「ん?...君はなんか.....どこかで」
辺りが暗くなってるのが幸いだった。
「少し眩しいけどごめんね」
だが、安心したのも束の間、ライトが点灯され、俺の下半身から徐々に顔へと向けられてしまう。
("まずい。顔を見られたら終わる。")
瞬時に思考が働いた俺は、手に持っているライトを逆向きにしてお巡りさんの顔の方へと向ける。
そうするとお巡りさんは想定外の動きで視界と動きが止まり硬直してしまう。
その隙をついて背後に周り首の後ろにすっと手刀をすると、気絶してばたっと俺の方へと倒れ込んだ。
この間、1秒にも満たなかった。
予備動作のない動きにお巡りさんは抗がったり対抗するどころか何が起こったのかさえも、分からないだろう。
周りに見られていない事を確認してお巡りさんをおぶりながら、誰もいない山の方面へと進み、山を登っていく。
("さて、どうしたものか")
ある程度距離が離れた後、小さい山小屋を見つけお巡りさんをゆっくりとおろしてスマホを見る。
思わず、俺は驚いてしまった。
今朝のコンビニに預けたキーホルダーにシール型のGPSを付けていたのだが、別の場所へと移動されていた。
履歴を遡っていくと時間にして、今日のお昼前......あまりにも早い段階で動いている。
場所はピンポイントではわからないが、円の範囲からおおよその位置から絞り出す事で、
警察署だと判明出来た。
また、コンビニのトイレに仕掛け置いたコンセント盗聴器から聞こえる会話の内容から間違いなく警察だろう。
だが、学校の校門へと入る直前に黒服達に全員必ず俺の真正面から一人ずつ殴るように命令をして、その際に腕の袖に付けたシール型GPSが今現在、倉庫と思われるところとキーホルダーがある位置とほぼ重なっている。
つまり、あの黒服と警察は同じ場所に集まっている。
これは、一体どういう繋がりなんだ?
想像し難い組み合わせだ。
勿論俺の知らない他も混じっているかもしれない。
その倉庫の周辺には何も建物がない。
密会かなのか?
そこで、一つある可能性が浮かんだ。
俺が頭の中で推理している内容が正しかった場合、恐らく俺はこの日本...いや世界の大半が敵に回るかもしれない。
世の中というのは真実や嘘による情報で固められている。
例えば、俺が仕掛けたGPSでの電波情報が正しいのか?示されたGPSの地図の位置情報はほんとに偽りなく存在するのか?大体の人間は信じて疑う事はないだろう。
実際、機械をいじられたり、地図の情報が古い情報ではない限り真実である可能性は高い。
そして、今まで似た製品を使っていての経験、大多数の人間による判断、その製品に対する信頼によるものだろう。
そして今回の件はその'大多数の人間'が真実と見れば恐らく俺の発言する事は'嘘'でしか見られない。
誰も'目'で真実を見てないのにだ。
だが、中には面白い方が真実と捉える者もいる。
人間ってのは実に面白い。
自分勝手な者、普段は横暴な性格なのにある特定の人に顔色伺う者、そして.....嘘付きな者。
実際、今回の件で俺は何をしたのか分からない限り手の打ちようがないのだが......誤解を解こうとしなければ話は別だ。
('なればいいんだろ?お前ら全員が想像しているようなその姿に')
そう、俺はこれから破滅の道へと進もうとしていた。
そしてそのまま、山小屋の前に落ちてあった毛布をお巡りさんの身体へと掛けた後、夜の山をゆっくりとゆっくりと山を下っていく。
その姿は狼のように気高く、寂しそうに見えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そろそろ私が好きなラブコメの展開へ進んでいきたい!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます