悪夢

体育館からぞろぞろと生徒が出てくる。


俺を見ては目を見開いて、階段へと早足で視界から消えていく。

殆どの人とは関わりがない為、初対面同然なのだが、俺の姿を見てはすぐ目をそらしてくる。

眺めていく内に、クラスメイトが現れた。

俺の姿を一瞥した後、何も言わず同じように視界から消えていく。

いつも俺に向ける視線とは違い、どこか見下すような、蔑んだような視線だ。


そして、クラスで一番元気な辛島悠太からしまゆうたが、


「お前、最低だな!」


「え、一体、どうしたんだ?」


何を言い出すのかと思えば第一声がそれかよ。


笑顔で対応している俺とは対照的に終始目つきが鋭く、眉間に皺がよっている。

無言で近づき、俺に鳩尾を一発、思い切り殴った後に


「二度とその面みせんな」


と唾をつけられその場に俺は倒れた。


「ま、待って僕が...なに...を......した?」


何を言わず無言で去っていく。

間違いなくあそこで何かを聞かされたのだろう。

そして、目の左端から花梨や隼人の姿も確認したが、俺に一瞥した後、何も言わず二人で背を並べて消える。

一瞬隼人が笑みを浮かべたようには見えたが。


('謎だな')


どうして、何も解決してない内から問題を抱える状況になってしまったのか。

本当によく分からない。

 だが、一応今後の立ち回りを頭の中でシュミレーションしていき、自分の教室へと目指した。





教室へ戻ると明らかに空気が違う。


 さっき教室へ戻る時に向けられた視線よりもかなり強い。勿論悪い意味で。

 急にクラスメイトの大半が急に静かになり、話の内容が聞こえるか聞こえないかぐらいの声量になる。



そして、自分の机を見つけた手前、沢山の落書きと椅子の上には画鋲がテープで貼り付けられていた。


('おいおい、勘弁してくれよ。俺も人間だぞ?

流石にこれはきつい。こいつら限度って奴を知らないのか?')


勿論、この有り様を見た俺はプルプルと身体を震わせる。


「僕の勘違いなのかな?なんか凄い感じになっているけど」


と、軽い感じで喋っているつもりだが上擦った声になってしまう。


 俺の震えている姿を見てか、周りの反応は楽しそうだった。


「あいつ、震えてやんの」


「いつも、お高くとまってて気に入らなかったんだよね!」


「わかるー!ほんとざまぁだわ」


どうやら、この場に俺の味方はいないらしい。


いつもと違い怯えきっている姿を見て興奮したのか、悠太を筆頭に、物を投げつけて来たり、殴ってきたり、おまけにドロップキックをする者までいた。


笑い者にされ、そしてまた殴られる。



この瞬間から、いやもっと前からやりたいとは思ってはいた。

が、行動に移せなかった、俺に背中を押してくれた人達に不敵な笑みを浮かべた。


('今日だけは好きにさせてやろう')


その姿を見て大半は'なんか笑ってるー'、'きもーい' などと言われたが極々一部には感じ取れた人もいるらしい。




あの目は狩られる側でなく寧ろその逆だった。






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更新が遅れてしまい申し訳ありません。

正直続き書こうか、迷ってはいたのですが

予想以上に作品の方が伸びていき、執筆しようと決心しました。

次話から、過去編を書こうか、伏線を回収しようかたった今悩んでいます。


人気者だった頃の主人公の姿を書いた方が想像しやすいのかなと思っています笑。


ストックがなく早足となっていますが、

沢山の星とフォローの方ありがとうございます。




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