第101話 マルコの大冒険
私の名前はスザクといいます。誰がこの名前を付けたのか、はっきりしていません。
ですが、物心ついた時から、地下迷宮入り口で、探索者にお願いしてポーターの仕事を貰い、今まで必死に生き抜いてきました。
あるとき、迷宮入り口の管理人に親切なおじさんがいて、迷宮のガイドブックを子供達に見せてくれました。
だけど、その見返りに、何人かの女の子が、おじさんのアレを、舐めさせられていました。
私も当時、生きるためにそれは仕方が無いかと思っていたのですが、私は一度もそれを求められたことはありませんでした。きっと、私の容姿が綺麗ではないせいだと思います。でも、男の子も舐めさせられていたのに、何故女子であるはずの私にその要望が来なかったのかが不思議です。
私には、その覚悟があったと思うのですが、結局、そんなことはせずに、そのガイドブックのお陰で、必要最低限の文字は読めるようになりました。その後、必死で勉強して簡単な筆記と計算もできるようになりました。
そして、体が大きくなると、本格的にスラム出身の子らと冒険者パーティを組むことになりました。私はずっとポーターの仕事しかしたことがなかったので、役割はポーターを選びました。
男4人、女4人のパーティです。みんな10代ですから、色んなことがありました。寝起きの男子のあそこが勃起しているのを見かけたり、リーダーとあの子の逢い引きシーンを覗いたり、またあるときはリーダーが他の3人の子と同時にセック○していたり……
一番おっぱいが大きい子が、同じパーティの男子4人と同時セック○していたり、先輩冒険者パーティのリーダーと他の女子3人がセック○していたり、衛兵の副官とセック○していたり、冒険者ギルドの受付のお兄さんとセック○していたり、迷宮入り口の受付のおじさんとセック○していたり……
とにかく、私達は生きるために必死で、使えるものは何でも使って生き抜いてきました。
ですが、ここで転機が訪れます。ウルカーンが、またエアスランと戦争をするというのです。前の戦争は5年前で、その時は私達はまだ14歳くらいでしたから、それに参加するという選択肢は無かったのですが、今度は違います。皆体が大きくなり、戦争にも十分いけるだろうという思いから、男子メンバー全員が戦争に行きたがったのです。どうも、先輩冒険者に誘われたようでした。なんでも、この国の王子様の部隊が人員を大量に募集しているとのことでした。
それに猛反対したのが私達女子4人です。
何度も説得しましたが、最終的に交渉は決裂し、スラム時代からずっと一緒にやってきた男子4人は、先輩冒険者と一緒に、戦争に行くことになりました。
私達女子4人は、このまま冒険者になるはずでしたが……
「悪りぃスザク」「ごめん、スザク」「ごめんねぇ~スザク。追放しちゃっていいかな」
ずっとスラムで一緒にやってきた女子3人は、私の知らないイケメン男子とパーティを組むというのです。
確か、子爵令嬢に婚約破棄された上に実家を追放された男爵のご子息で、追放されたとはいえ元貴族ですから、それなりのコネがあるのではないか、というのが彼女らの判断でした。
私は途方に暮れました。生まれて初めてぼっちになりました。人生でこんな経験はありません。スラムでも、孤独はありませんでした。
というか、お金もありませんし……私は、意を決して、娼館の門を叩きました。もはや、自分に残っているのはこの体だけです。19歳にもなって処女です。きっと、処女好きの変態貴族とかに売れると思うのです。私は、その人にねちっこく攻められて、卑猥な言葉を投げかけられて、いや、もしくは延々と卑猥な言葉を言わされて、時々放置されつつも少しだけ優しい言葉を掛けられて、最後はひと思いにやられると思います。今からどきどきです。
ですが、娼館のおじさんから、「いらね」と言われてしまいました。何故なのでしょう……私は、途方に暮れました。こうなったら、お酒飲んでる人に言い寄ってみようと思いました。お酒に酔って判断能力が低下した人なら、何とかなるかもしれないと考えたのです。
そして、勇気を振り絞って酒場に入りました。
そこには、怖い人達が沢山いました。みんなベテラン冒険者に見えました。ですが、中央テーブルに変な集団がいたのです。
それは、異様な風貌の三人のおっさん。二人は黒髪、一人はスキンヘッド。同じテーブルに水色の髪の清楚な女性と、赤色くせっ毛の女性が座って一緒に食事をしていました。ですが、その会話がどうも、その赤色くせっ毛の女性を雇う話のように聞こえるのです。
第一、そのおっさん三人は、どう見たって冒険者には見えません。変な武器を腰から下げたラフな格好をしたおっさん、ビシッとした官僚のような格好をしたおっさん、そして、ノートゥンの
私は意を決し、その集団に話掛けることにしました。自分を仲間に、いや下女でもいいから雇って貰えるように。
勇気を持って話掛けると、何故か、それからはトントン拍子に話が進みました。私と同じように考えている人達が同じお店にいて、大賑わいに。そしてそのまま彼らの野営地へ。私も必死でそこに付いて行きました。
そこで始まった大宴会。
唯一しらふだったサイフォンさんが必死に場を取り仕切り、変な冒険者にはお帰り頂いていました。
私は追い返されなかったから、きっと合格だったのでしょう。これできっと大丈夫。次の日も普通にそこで御飯を食べて、そして荷馬車選びにも同行することに。それから、おっさんの一人が迷宮探索に興味があるということで、私がポーターとして彼に同行することになりました。
するとなんということでしょう。
そのおっさんは、迷宮探索にいつもの格好で来たのです。軽装備、しかも手ぶらで。迷宮を舐めているとしか思えません。腰に下げている変な短剣はアクセサリーだそうですが、全く似合っていません。どう見ても男性の体と不釣り合いだからです。どうしても身に付けたければ、服の胸元辺りに忍ばせればいいと思うのですが……
それはそうとして、私の仕事はポーター。目の前のおっさんが衝動買いした変なロバが私の相棒。
男を知らない乙女なのに、何故かロバの処理は完璧に出来ました。いっつも男子メンバーの自慰行為を覗いていたからでしょうか。終わったあとに、まるで良かったぜ、と言わんばかりにそのロバに頭を頬で撫でられました。何故かとても屈辱的な気持ちになりました。
そしてようやく、私のここでの仕事が始まります。もちろんポーターとしてです。
いざ迷宮へ。ですが、ここでも色々と不思議な体験が起きてしまいます。
迷宮に興味を持った変なおっさんは、どうも念力みたいな力でモノを運ぶことができるようでした。
次々に捕まえてくる岩トカゲ……本当は罠で捕らえるべき動物なのですが、かまわずドンドンと運ばれてきます。異常性を感じます。
しかも小さなヤモリにまで興味を示し、必死に捕らえてきます。
私がこの先に貝が棲息していることを言うと、少し興奮しているようにも感じました。
その地底湖に到着すると、その変なおじさんは、さらに変な事をしようとします。なんと、そのままザブザブと地底湖に入っていくのです。
その途中、あの変な短剣をこちらに投げて、「おいマルコ、この地底湖に巨大なワニとかはいないよな」と言われました。
マルコ??
「そ、そんな記録はありません。というか、誰ですかマルコって」と言いながら、おっさんが投げてきた短剣を、必死に両腕でキャッチしました。
そして、その変なおっさんは、ぶくぶくと地底湖に潜水していきました……
唖然とする私とヘアードさんを
そして、私は見た。
大量のシジミが、自ずから浮き上がってくるところを!
私は、失神しそうになりながらも、この人に声を掛けた判断は本当に正しかったのか、しばらく逡巡することになりました。
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