第3話
どうにか、町の中に入ることに成功した。
嘘をついて、申し訳ないが、俺はお風呂に入りたい!!
そして、俺は絶望を知ることとなる。
町の中に入り、まず1番最初に行ったところは、冒険者ギルド。
彼女は腰布だけを奪っていたが、俺は森で見かけた動物の牙とかを奪っておいた。もちろん、死体だったが。
先程の門番も言っていたが、ゴブリンの耳は換金出来るらしい。現代日本に生きている俺はゲーム知識でゴブリンの耳が換金出来ると知りつつも血を見るのが怖くて持って来れなかった。
「次の方、どうぞ~」
俺たちの番だ。受付の人といえば、美人が多い。これもゲーム知識だが、楽しみだ。
胸を踊らせながら、受付の前に行くと、そこに居たのは、美人ではなかった…。
言ってしまえば、ゴブリンのようなもの。てか、ゴブリンだろ。ブスだ。ブスすぎる。
こんな生物、誕生しちゃダメだろ。
「お兄さん、今、私のことゴブリンみたいだと思いました?」
「そそそ、そんなことないですよ」
怪しさ満点である。
「はぁ、まぁ、いいですよ。換金ですか?ご依頼ですか?冒険者登録ですか?」
「か、換金でお願いします」
受付の人は、彼女の袋をチラッと見た。
「腰布は換金出来ませんよ」
「あ、違います。こっちです。牙…」
「確認しますので、少々お待ちください」
15分後。
「では、こちら3金貨と840銀貨になります」
周りがざわついた。
何だ?
「あの、なんでこんなに」
人が沢山いるなかで『金貨とはなんですか?』とか『何でこんなにザワついてるんですか?』とかは聞けなかったので、濁して聞いた。
「先程頂いたなかに、大変貴重な薬草が混じっていました。こちらの薬草、金貨2枚になります。」
「金貨…2枚!?」
よく分からないが、金貨はきっと莫大な金額なんだろう。
「それから、残り1枚の金貨は、フェンリルの牙でした。例え、自分で倒してないにしろ、フェンリルの牙は大変貴重なのでお支払いすることになってます」
ギクリ。バレている。
やっぱバレるものなのか。
「分かりました。ありがとうございます。あの俺たち、まだ冒険者じゃないんですけど、冒険者になると良いことってありますか?」
「冒険者になりますと町へ入る際の通行料免除。それから、宿によりますが宿泊料金割引。そして…」
「通行料?」
「え?…あの、通行料、払いましたよね?」
「え?」
「え?通行料…」
なるほど。町に入るには通行料が必要なのか。あれ?でも俺たち払ってないぞ。
「あの、どちらからいらしたんですか?」
「え、森から」
「森から!?」
そんなに驚くか?
まぁ、確かに俺たちも『お前どっから来たの?』『東京』とかなら『へぇ、そうなんだ』ってなるけど、『お前どっから来たの?』に対して『森』と答えるのは間違えたかもしれない。
「森、森かぁ。分かりました。」
分かったって何が分かったんだ?
「では、登録となります。銀貨4枚頂戴致します。それでは、良い旅を」
そして、冒険者ギルドを出る時、本来の目的であるあのことを聞いた。
「あの、どこに行ったら、お風呂に入れますか?」
「おふろ。とは、なんですか?」
「え?」
そう。この町にはお風呂がなかったのだ!!
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