第32話 上限開放!
「美麗ちゃんはお兄ちゃんのことが大好きなんだね」
「うんっ!」
美麗は大きく頷いた。
「だけどね。お兄ちゃんはもう目を覚ますことは無いんだよ」
無慈悲な医者の一言。
だが、美麗は諦めない。
「お兄ちゃんは無敵だもん! 私がトラックに引かれそうになった時も、身代わりになってくらたもん! その時も、今みたいに寝たきりになったけど、復活したもん!」
首をブンブン振りながら、必死に訴える十二歳の少女。
ツヤツヤのツインテールが激しく揺れた。
「美麗。やめなさい。ここは病院なんだぞ」
父が落ち着かせるために美麗を肩を抱く。
「離して!」
美麗は父の両腕を振りほどくと、寝たきりの蒼に覆いかぶさった。
(お兄ちゃん! お兄ちゃん! また一緒にお菓子食べようよ! また一緒にお外で遊ぼうよ! また一緒にお風呂に入ろうよ! また一緒に……)
「あっ……!」
美麗の想いに応えるかのように、蒼の身体が光り輝いた。
◆
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
アオイは体中から漲るエネルギーに、感動の雄たけびを上げた。
『ピロリロリ~ン』
それを裏付けるかのようにいつものサウンドが脳裏に鳴り響く。
『カオスポイントが1000に達しました。レベル上限を77から100に開放します』
いつもの女性の無機質な声。
それが耳に心地いい。
だが、なぜ?
カオスポイントはどうして集まったのか?
名前:アオイ
レベル:100
HP:8193/8193
MP:7530/7530
スキル:【成長チート】【ウオータースプラッシュLV1】【ウオータースプラッシュLV2】【初級収納スキル】
残りスキルポイント:2000
獲得可能スキル
・中級収納魔法(必要スキルポイント1000)
・初級ハーレム(必要スキルポイント3000)
・神様呼び(必要スキルポイント10000)
獲得魔法(水魔法)
・ウオータースプラッシュLV3(必要スキルポイント300)
・ウオータースプラッシュLV4(必要スキルポイント1000)
全回復!
そしてレベルが100になった。
筋肉が喜んでいる。
モリモリに盛り上がった俺の筋肉!
防御力、攻撃力はパラメータとして確認できないが、分かる!
俺は確実にパワーアップした。
「ゴオオオオ?」
サイクロプスが俺の変わりように怯んだ。
そのせいで隙が出来た。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
俺は握り締めた拳をサイクロプスの腹に叩きこんだ。
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