第28話 レベルキャップ

「なんだ!? どうしてレベルアップしないんだ!」


 いつもなら戦う度にレベルが上がってた。

 それが成長チートの強みなはずだ。

 これだけのゴブリンを倒したんだぞ!

 レベルアップしてもおかしくないはずだ!

 ……って、俺は誰に文句を言ってるんだ。


名前:アオイ

レベル:77

HP:3013/5154

MP:0/3815


『ピロリロリ~ン』


 お、いつもの音。

 遅いよ。

 ま、でもちゃんとレベルアップしてくれたから良しとしよう。

 その代わり、多めにレベルアップしてくれよな。

 

『アオイはレベルアップの上限に達しています。次のレベルに達するには上限解放を行う必要があります。上限解放するには、カオスポイントを1000ポイント貯める必要があります』


 いつもの女性の声。

 その無機質で綺麗な声を俺はいつも待っていた。

 だが、今回に限ってはその声の主に一言言ってやりたい。


「おい! どうなってんだよ! カオスポイントってなんだ! 課金しないと上限解放しない仕様なんか!? この世界は!」


 俺は空に向かって声を荒げ、転がっているゴブリンの死体を蹴りまくった。


「ワンワンワン!」


 お、豆柴。

 黒豆みたいな瞳が、心配そうに俺を見ている。

 戦いに夢中で豆柴のことを忘れていた自分に気付く。

 俺はいつの間にか大切なペットのことさえ……


「ほっといてごめんな……。無事でよかった」


「ワウ!」


 豆柴の元気な鳴き声で俺は自分を取り戻す。

 俺は豆柴のモフモフした身体を抱きしめた。

 温かな豆柴の体温が俺を優しくコーティングしてくれる。

 ささくれだった心が丸くなっていくのが分かる……

 

「まずは、現状整理だ」


 俺はステータスを確認するため眉間に意識を集中。


名前:アオイ

レベル:77 ※カオスポイント1000で次のレベルに上がれます。

HP:3013/5154

MP:0/3815

スキル:【成長チート】【ウオータースプラッシュLV1】【ウオータースプラッシュLV2】【初級収納スキル】

残りスキルポイント:1000

獲得可能スキル

 ・中級収納魔法(必要スキルポイント1000)

 ・初級ハーレム(必要スキルポイント3000)

 ・神様呼び(必要スキルポイント10000)

獲得魔法(水魔法)

 ・ウオータースプラッシュLV3(必要スキルポイント300)

 ・ウオータースプラッシュLV4(必要スキルポイント1000)


要は、ここだ。


『レベル:77 ※カオスポイント1000で次のレベルに上がれます。』


 レベルキャップってやつだ。

 オンラインゲームなんかで、プレイヤーキャラクターやペットなどが、レベルアップできる上限のレベルのこと。


 これを解放するためには、カオスポイントやらを貯める必要がある様だ。

 一回目はそんな仕様なかった。

 だが、今回はそういう仕様変更が発生した様だ。


つづく

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