第27話 死闘! 大群ゴブリンとの戦い!
何だ!?
モンスターだと!?
空気から緊張が伝わる。
振り返ったその先には、ゴブリンの大群に追い掛けられる村人たちの姿。
「助けてー!」
この辺鄙な村にこんな人がいたとは驚きだ。
ぱっと見、百人くらいはいるか?
一体どこに逃げようとしてるのか?
きっと戦ったことも無い村人は、モンスターのいない場所に向かうことしか頭にない。
大地震の後の津波から逃げ惑う人々の様だった。
俺の脳裏に忌まわしい映像が浮かび上がる。
俺が十歳の時だ。
あの大地震。
その後の津波で俺の家は流された。
俺は泣きじゃくる美麗の手をグッと握り締め、何か云いようのない怒りに震えていた。
大自然が悪魔のように思えた。
一回目の転生の時、俺は魔王を大自然だと思って復讐心を持って戦った。
それこそモンスターに怯えるこの異世界の人々は、大自然の猛威に翻弄される現世の人々に似ていた。
「勇者アオイ様~! 降臨して下さい!」
村人の一人が叫ぶ。
きっと、一回目の俺のことだろう。
(いいだろう! 二回目の転生でも、俺はお前達の英雄になってやる!)
村人が一斉に俺の横を通り抜けていく。
「キルオさんも逃げて!」
「う、うん!」
俺はそう叫び、腰に差した、銅の剣をスラリと抜き、構える。
村人が走り去った後に続くは、土煙を上げながら集団で疾駆ゴブリンの群れ。
「ゴルルルルウ!」
俺に正面から挑もうなんざ、勇気の無駄使いってもんだぜぇ!
「ゴォ!」
「ギャッツ!」
「ロゴオオオ!」
飛び上がって攻めて来るゴブリン十体を斜め切り。
緑色の身体から紫色の血を噴き出し絶命。
次は、足元から攻めてこようとする愚か者を、モグラたたきの要領で、次々銅の剣の腹で殴打、撲殺。
ふぅ……
さすがにこの数は疲れる。
「ゴオオオオオオオ!」
気を抜いてたら、俺の横をすり抜ける様に数体のゴブリンがドタドタ走り抜けて行く。
(それほど、村人を食い殺したいか!)
「ウオータースプラッシュLV2!」
ピュシャアアアアアア!
広げた手の平から放出されるは、一直線の水のビーム。
それがゴブリンの背中を貫く。
勢いよく噴き出る水は、岩だって切り裂く武器になる。
俺は、手からビームを放射したまま、腕を水平に動かす。
「ビャアアアアア!」
「ゴアアアアアア!」
「シャアアアア!」
水のビームも水平に動く。
まるでウオーターカッターだ。
横並びに走るゴブリンを、左から順番に上半身と下半身に分断していく。
「はぁ、はぁ! こんなもんか!」
さすがに疲れた。
MP:0/3815
さすがに、雑魚とはいえ、この大軍を一度に一人で相手にするのはしんどい。
「くそっ、レベルアップはまだか!?」
レベルアップすれば全回復する。
早くレベルアップしてくれ!
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