第16話 猫耳モフモフ

 やっべぇ……。


 だけど、最初見た時から、あのモフモフ、フサフサの尖った耳が気になって仕方なかったんだよぉ……(超言い訳)


「あは……っ、あはは……」


 そんな俺に猫耳少女は口の端をひくつかせての苦笑い。

 チラリと見えた八重歯が可愛い。


ドクン!


 再度スイッチが入る俺。

 よーし、もう欲望に素直になろう。


「いいですよ」


「まじ!?」


「はい」


 猫耳少女の顔は真っ赤にだった。

 耳がぴくぴくして、尻尾がピンとなっている。


「じゃ……」


 傷んだ木で出来た床。

 その上をミシミシ言わせながらゆっくり俺の方に歩いて来るミーニャ。


 おお、何だ?

 近づいて来る。

 意外に大きな胸してるなぁ。

 甘い匂いがたまらない。


 そして、ベッドに腰掛ける俺の前にちょこんと正座する。


「あ、あはっ……」


 俺はその仕草に歓喜する。


 俺が……触りやすいように、わざわざ……。


 その心づかいが嬉しかった。


「よしっ!」


ごくり。


 唾を飲み込む。


 いいんだな。


 いいんだな、ミーニャ。


コクリ。


 ミーニャが目を閉じ、小さく頷く。


 では、憧れの猫耳に……触れた!


「はうっ!」


 ミーニャは両肩をすぼめ、身体を小さく震わせた。


「あ、ごめん」


 俺は咄嗟に手を引っ込める。


「もっと、優しく……」


 ミーニャの目が潤んでいる。


「うん」


 いかん。

 いかん。

 はやる気持ちを抑えねば。


 今度は、先っちょの方を優しく撫でる。


「はふぅ……」


 猫耳少女は瞳をトロンとさせ、気持ちよさそうに体をよじる。

 まるで、おもちゃを買って上げた時の美麗の恍惚とした顔にソックリだ。


「おおお……」


 やっべぇ!

 モフモフすげぇ気持ちいい!

 猫耳を包む毛は柔らかくて、フワフワの絨毯みたいだ。

 毛の下に隠れた猫耳の肉に触れると、とても温かくてミーニャの体温を感じる。


「うにゃうぅ……」


 ミーニャのやつ、喉をゴロゴロ言わせ始めた。

 機嫌がいい時の猫みたいに目を糸みたいに細めて、アヒル口になってる。

 両手を丸めてまるで本物の子猫みたいだ。


「うはっ! うはは!」


 俺の心の中はミーニャのことでいっぱいになった。


「ミーニャ、俺……絶対、お前の事、助けるからなっ!」


 俺は、ミーニャの大きな瞳、黒い髪、八重歯、優しい心……その全てに誓った。


つづく

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