第14話 命の価値
「ミーニャ、あんなヒドイことを言った俺だけど、聞いてくれ」
「……」
「俺がお前をここから連れ出してやる!」
「え!?」
ミーニャの大きな目が更に、大きくなった。
「ワン、ワン、ワン!」
豆柴も応援してくれている。
俺はミーニャの手を掴み、旦那のところに向かった。
◆
「ミーニャを譲って欲しい? お客さん、何言ってるんですか? ミーニャはうちの大事な労働力なんだ。簡単には渡せねぇ!」
こいつ、やけに威圧的だ。
そして、何かニヤニヤしている。
まるで何かを期待しているかようないやらしい顔だ。
禿げ頭がテカり出している。
「タダでとは言わない! いくら欲しい?」
俺は有り金払ってもいいと思っている。
側で豆柴を抱きながら震えるミーニャを、救うためなら!
「そうですねぇ……。ま、これくらいなら」
旦那はゴツイ掌を、俺に向けた。
毛むくじゃらの五本指がピンと伸びている。
「金貨5枚か!」
それなら払えるぞ。
「ちっ、ちっ、ちっ……お客さん、人の命ですぜ。それが金貨5枚な訳ないでしょ?」
旦那は白い歯を見せて笑った。
「なっ……、なら、金貨50枚か!?」
それなら、頑張ってモンスターを倒したりすれば……
「そんなバナナ。お客さん。ミーニャが欲しいんでしょ? 欲しいものは苦労して手に入れたほうが嬉しいもんですよ? だからそんな安い値段じゃありません」
旦那はヘラヘラ笑いながら、俺をからかう。
そして、急に真顔になって、
「金貨500万枚だ!」
「え!」
場が静まり返った。
聖剣のメンテナンスより……高い……
つづく
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