第12話 奴隷
「こいつはペットじゃない! 大事な俺の使い魔だ!」
俺は豆柴の体温を身体中に感じながら、猫耳少女を怒鳴りつけた。
「すっ……すいません。ですが、人間以外はお断りしていて……」
「お前だって、半分獣じゃねぇかよ!」
申し訳なさそうに頭を下げる猫耳少女。
「あ、ごめん……」
あ、いや、いや。
これは言い過ぎたな……。
尖った猫耳がペタンと垂れた。
スカートからのぞく尻尾もペタンと垂れた。
可愛い……
「うえぇぇぇんっ!」
うお、泣かせちゃった。
猫耳少女は両目に手を当て、大粒の涙を拭ってる。
「ごめん……あの……俺……悪気は無くて」
「うあああああああん!」
ああ……
俺は好きな娘を泣かす最低の男だ。
猫耳少女の鳴き顔は、どうも現世に残して来た妹の美麗に似ている。
あいつどうしてるかなぁ……
「お客さぁん! どうしましたかぁ!」
野太い大声。
廊下をドタドタ走る音。
奥から誰か来る。
「何かご不満ですかぁ!」
出て来たのは、おっさん。
つるっぱげのちょび髭で、面長。
上半身裸で、布のズボン一丁で登場。
「あっ……ああ……、俺が悪いです」
俺は事情を話した。
その横で、猫耳少女はしゃくりあげている。
「おい、ミーニャ、お前、お客様を困らせたな!」
「すっ……すいませんっ……旦那様ぁ……」
この娘、ミーニャって言うのか。
それにしても、旦那様、そんなに怒らんでも……
……って、俺が言える立場じゃねぇな。
「お客様、すいません。その犬って使い魔なんですよね。だったら大丈夫です!」
「は、はい」
「すいません。ちゃんと、この奴隷娘は指導しときますんで!」
ど、奴隷!?
ミーニャは奴隷なのか!?
つづく
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