第10話 錆び取り
「あ、あんた……一体、それをどこで手に入れたんでやんすか?」
「どこって? 街の外を歩いてたら見つけたんだけど」
「なっ……なんですと!?」
メッチャ慌ててる。
こいつが嘘ついてるっぽく見えない。
けど、気になる。
「聖剣って錆びるもんなの?」
「そりゃあ、使えば刃こぼれはするし、雨に濡れたままにしておけば錆びるでやんす」
「いや、いや、聖剣でしょ? そんなフツーの武器っぽくていいの?」
「いいも何も、それが武器ってもんでやんす。聖剣だけ特別扱いはされてないんでやんす」
まったく、聖剣だからこそ、特別扱いしてくれよ。
まぁ、こいつの言ってることはある意味正しい。
それに、さっき装備しても大して攻撃力は上がらなかった。
錆びているからだろう。
「じゃ、これ、錆びを何とかしてよ。本来の聖剣に戻してくれ」
「わかったでやんす」
「いくらだ?」
「金貨100万枚でやんす」
え……?
こいつ、何て言った?
「錆びを取るだけだろーが!」
「聖剣の錆びを取るには特殊なスキルがいるでやんす。その人に頼むには物凄い金がいるでやんす」
どうやらガメツイ鍛冶屋がいるらしい。
仕方ないな。
「ウーッ! ワンワン!」
豆柴も一緒に文句を言ってくれた。
フサフサの毛に包まれた頭の★が光ってる。
「うるせーな!」
店の奥から筋骨隆々の禿げ頭が出て来た。
神様といい、よく禿げ頭が出て来るな。
「おい、ぼーず、これ聖剣じゃねーか!」
禿げにぼーずって言われたくないわ。
うんこに臭いって言われたくないのと同等だわ。
「ぼーず、お前、聖剣が使えるのか?」
「は? これで戦って来たんですけど」
「嘘だろ……ぼーず…お前、聖剣に選ばれたんだな」
「え?」
禿げ頭のオヤジが言うには、聖剣を扱える人間は一千万人に一人しかいないらしい。
つまり、選ばれた人間だ。
選ばれなかった人間は、聖剣を引き抜くことすらできない。
つづく
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