第9話 いつの間にか聖剣持ってた件

「おお……随分発展したなあ……」


 カンポの街は俺が一回目に転生した時よりも、発展していた。

 道は綺麗に整備され、建物もせいぜい二階建てまでだったが、今は5階建てのものがある。

 何より人口が増えた。

 その証拠に店の数も増えている。


「俺が魔王ガイズを倒したお陰で、ここまで発展できたんだろう」


 そう思うと、俺は胸を張った。


「おおっ! よく見ると、エルフがいる! あそこには猫耳の少女も……」


 素晴らしい。

 人間と亜人が共生までしているとは。

 前回の転生の時は、人間と亜人は仲が悪くて争いが絶えなかったんだ。

 どちらかというと人間が一方的に亜人達を虐めていたんだけどね。


「……とりあえず、武器と防具だな……」


 さすがに錆びた剣じゃ、この先が思いやられる。


 俺は豆柴を抱いたまま、街を歩いてみた。


「いらっしゃいませ」


 武器屋の主人が俺に頭を下げる。


「おすすめってある?」


「そーですね。これなんかどうでやんすか?」


 団子鼻で髭面の店主が、差し出したのは鉄の剣。


「いくらだ?」


「金貨10枚でやんす」


「う~ん。ちょっと考えさせてくれ」


 さすがに賄賂で金貨20枚も使った身としては、ここでまた金貨10枚も消費したくない。


「他には?」


「そうでやんすねぇ……。……って、お客さん、それっ!」


 店主は俺が腰に差している錆びた剣を指差した。

 目を丸くして驚いている。


「どうした?」


「そっ、それ! 伝説の聖剣ですぜ!」


つづく

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