第5話 蘇生

「バッカも~ん!」


 禿げ頭から湯気を出して怒る神様。

 今までずっと穏やかだった神様は鬼の形相で、やらかした俺を怒鳴りつけた。


「死んでしまうとは何事だ!」


「だって~」


「だっても、へちまも、あるかっ! これからお前を蘇生させるのにどれくらいの神聖力が必要か分かってるおるのかっ!」


 神聖力とは、神様が持つ力のことだ。

 実は俺が【成長チート】スキルを使えたりするのは、神様の神聖力のお陰だ。


「すいません。だけど、スタート地点にあんな強いモンスターいたら、即死ですよ。もうちょっと転生させる場所考えてくださいよ」


「スタート地点を決めるのには大きな神聖力がいる。わしが今回、アボガルド王国に振り分けた神聖力を、そこに使いたくない」


「そんなぁ……」


「運の要素はあるが、お前の今回のスタート地点は、そこそこ楽勝な場所だぞ!」


 結局、油断した俺が悪いのだろう。


「すいません」


 俺は土下座した。

 このまま終わってしまっては、現世で妹と再会出来ない。


「いいか、今回の魔王は前回より強い。気を付けるのじゃ」


「はい……」


「よし、反省している様じゃな。まったく……今回限りじゃぞ」


 そう言うと、神様は俺に手をかざした。


「蘇生!」


 俺は光に包まれた。


 意識が途切れそうになるのが分かる。


「まったく……、タキだけでは心配だのう」


 だから、タキってだれよ?

 俺は蒼だよ!

 神様の気になる一言が俺の耳に響いた。



「ウウウウウッ……」


 獣の唸り声で目が覚めた。


 目の前で豆柴を襲う凶暴な狼。


 どうやら俺は無事に蘇生出来た様だ。


「さて、どうするか……」


 とりあえず、俺の背後にいるスライムが三匹いる。

 これをひとまず倒すか。


「おりゃ!」

「ブニョ!」

「せや!」

「ビニャ!」

「ほい!」

「ブチャ!」


 拳と蹴りでスライムを倒す。


『ピロリロリ~ン』


『レベル15になりました。スキルポイント40ゲット!』


 さすが【成長チート】スキル。

 最弱のスライムを倒してもうレベルが15になった。


名前:アオイ

レベル:11

HP:250

MP:140

スキル:【成長チート】

残りスキルポイント:10

獲得可能スキル

 ・初級収納スキル(必要スキルポイント200)

獲得魔法(水魔法)

 ・ウオータースプラッシュLV1(必要スキルポイント50)


 【初級収納魔法】を最初に身に付けたかったが、とりあえず、【ウオータースプラッシュLV1】にしよう。

 豆柴を助けるために。

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