第4話 死亡

 街を目指して歩いていると、獣の唸り声が聞こえて来た。


「ウウウウウウッ……」


 声の方に耳を澄ませた。


「キャン、キャン……」


 弱弱しい子犬の声も聞こえてくる。


「助けなきゃ」


 俺は咄嗟に、声の方に走り出した。


「グルウウウウウウ!」


 三匹の獰猛な黒い狼が、茶色くて可愛らしい子犬を囲んでいた。


 小さい豆柴って感じだ。


 俺の頭の中で、妹の姿と子犬の姿が重なった。


「こらー!」


 俺は素手で突っ込んで行った。


 狼の群れは俺にひるまず、飛び掛かって来た。


 まだレベル11の俺には荷が重い相手だった。


 鋭い牙と爪で、俺は切り刻まれた。


 豆柴がつぶらな黒目に涙を浮かべている。


 ごめん、助けてあげられなくて。


 俺は、意識を手放した。


 どうやら死んだみたいだ。

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