第6話 ペット

 俺は手近に武器が落ちていないか探す。


 武器が無ければ【ウオータースプラッシュLV1】を発動出来ない。


 あったぞ!


 大地に突き刺さった錆びた剣。


 贅沢は言ってられない。

 それを手に持ち、黒い狼達に立ち向かう。


「でやっ! 【ウオータースプラッシュLV1】!」


ボッ!


 剣の振り終えた瞬間、半月型の水の波動が飛ぶ。

 それが狼の一匹に当たる。


「ギャン!」


 狼が血を噴き出して倒れる。


「グルッルウウウウウ!」


 仲間を殺された狼は怒りに燃え、俺に襲い掛かてくる。


「でやっ! 【ウオータースプラッシュLV1】! 【ウオータースプラッシュLV1】!」


 闇雲に連発する。


 俺は黒い狼三匹を倒した。


『ピロリロリ~ン』


『レベル25になりました。スキルポイント100ゲット!』


名前:アオイ

レベル:11

HP:250

MP:140

スキル:【成長チート】

残りスキルポイント:150

獲得可能スキル

 ・初級収納スキル(必要スキルポイント200)

獲得魔法(水魔法)

 ・ウオータースプラッシュLV2(必要スキルポイント150)


 【ウオータースプラッシュLV1】でMPを消費したのだが、レベルアップで全回復した様だ。

 レベルアップして全回復するシステムは前回と同じみたいで、安心した。

 これで多少の無理も出来る。


「くぅ~ん」


 よろよろと豆柴が俺に近づいてきた。


「おお! よしよし!」


 俺は豆柴を抱きしめた。


 何て可愛いんだ。

 モフモフの毛。

 つぶらな黒い瞳。

 尖がった耳。


 決めた。


 こいつは異世界での俺の妹だ!


「ん?」


 豆柴が動かない。


 それもそのはず、俺の手には血が付いていた。


「豆柴! お前!」


 狼に襲われて、傷を負っていた。


 どうする?


 薬草も持ってないぞ。


 このままだと死ぬ……。


 そうだ!

 

 俺は残ったスキルポイント全てを使い、【ウオータースプラッシュLV2】を獲得した。


「【ウオータースプラッシュLV2】!」


 俺が詠唱し手をかざすと、豆柴の傷がどんどん塞がって行く。

傷口を凍らせたのだ。


「ワウン!」


 おお!

 元気になった。


 豆柴は、舌をぺろっと出して、はっはっはっと息をしている。


「よーし、よしよし。俺は敵じゃないぞ」


「クゥウウウン…クゥゥウウ…」


 豆柴は俺の胸に頬ずりし始めた。


 俺は豆柴を、ギュッと抱いてもふもふを全身で味わった。


 この上ない至福……


 こいつ可愛い……


 飼いたい……


つづく

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