第17話 ボクちゃん 17 勤務

ボクちゃん 17

勤務



教師の勤務は、当初思っていたほど生やさしいものではなかとた。



午前8時5分の勤務開始、そして朝の会、8時15分職員朝会、8時35分一時間目開始、二時間目が過ぎると十五分の中休み、





この中休みの時間帯には、週に二日の運動活動が行われる。



運動場の遊具を利用して、ローテーションを組み、全児童が七、八分程度運動場を走り回わる体育活動のひとつである。


これは、運動場にある遊具、鉄棒、登り棒、雲底、タイヤなどを使って、運動するというものである。




基礎体力を培うことをねらいとして実施するものである。



近頃では名称が変わり、何々タイム、何々時間とよばれている。




「この事に関しても、僕は校長から関与されて、ローテーション運動の密案を命じられた。この計画案を作成したのである」





そして、十二時十五分四時間目終了、ただちに給食、給食指導、そして昼休み、十三時三十分から清掃指導、十三時五十五分五時間目開始、終了が十四時四十分、そして帰りの会、児童達が帰ってホッとするのが、十五時三十分前後、それからバレーボールの練習、それから明日の準備、教材研究、雑務、庶務(出席簿の整理、校納金の会計、学級通信、学級日誌の確認、書連絡等)





帰宅してはまた教材研究、



とにかく外から見るよりは遥かに忙しい、



第一、休憩して落ち着く時間がほとんどないのである。



その上、児童指導、家庭との連絡、児童の健康管理、出張、復命、また研修報告、






その上、組合活動、さらに学期ごとの各教科担当者会、学期末には通信簿、





春には入学式、春の遠足、家庭訪問、



夏休みには水泳(水泳に入る前のプール清掃)、その水泳についての心肺蘇生法の研修、キャンプ、相撲の指導、廃品回収(これは、地域の人々と協力して、古新聞、段ボール、古本、空き缶などを運動場に収集して、トラックに積み込み、業者に委託して、利益を得て、教育活動に当てるもの)




秋には、運動会、秋の遠足、陸上競技記録会、




冬には、持久走大会、学習発表会、卒業式、















火曜日は、クラブ活動、委員会活動、





前期、後期の児童会活動、



各学期ごとの避難訓練、




春と秋には、朝の交通安全指導、交通教室、





各学期末には愛好作業(校舎の一斉清掃)、




年一回程度の各先生の校内研究授業、





など、数えきれないほどの仕事が毎年計画されている。





他の行事も各種ある。



七夕集会、クリスマス集会、新入生を迎える会、卒業生を送る会、




年間を通して、目も眩むほどの仕事量である。




このスケジュールは異常とも思える。




とにかく忙しいのである。



最近では、過労のため、療養に入ったという女教師も二、三人いる。




なかには、過労死で亡くなった先生もいると聞いている。



また、あまりにも行事が多いので、数人の教頭がその削減を願い出た、とも聞いていた。




とにかく息をつくのも、つかの間の毎日である。




自分の家庭も、職場もないのである。



精神というか、身体が参ってしまって、毎日疲れきるばかりである。





とにかく僕が思っていたより遥かに予想を上回る忙しい毎日が待ち受けていたのである。




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