第11話 ボクちゃん 11 バレーボール

ボクちゃん 11


バレーボール



二、三日後、このペコペコ校長が言いかけてきた。


「模範授業をしてやろう」


全面的に失意を持っていた、が少しの興味もないことはなかった。


一体、この校長が、どんな授業をするのか見てやろう、という気も心中に秘めていた。


そして、算数の授業である。


僕は、算数は、系統的、段階的に指導していかなければならない、と考えていた。


低学年は「タイル方式」が妥当だとも思っていた。






そして、このペコペコ校長の授業である。



校長か、いきなり黒板に書いた。


3×6=  4×8=


10×3= 、、、


と、、、、



こんな問題を十個ほど板書した。



児童は、「はい! はい! はい!」と二十人ほど元気よく手を挙げた。



それだけで、教室は、熱気を帯びて盛り上がったのである。




この授業での児童の態度は、眼を疑わんばかりだった。



児童は、この校長が、すきなのだろうか、とも思った。


また、この程度でよいのか、とも思った。




授業後、校長は得意な顔をして、こう言った。


「わかったかね、佐々木君、子どもは単純だから、よく噛み砕いて、具体的に教えることが大切なんだよ」、、、、



僕は、そんなものでいいのか、と、心の中で呟いた。








二週間後、またまたこのペコペコ校長が言い寄ってきた。


「佐々木君、バレーボールを指導してくれないか」、





僕は、学生時代、バレーボールを少し経験していた。


バレーボールに関しては、我ながら多少の自信も持っていた。



ちなみに、僕のバレーボールの基本理念を羅列すれば、、、、



精神的の育成、集中力、敏捷性、反射神経、瞬発力、根性、忍耐力、各ポジションの役割、試合の流れ、基本技術の定着、応用力、判断力、頭脳プレー、辛抱、我慢力、臨機応変、タイムの時期、攻撃力、守備力、粘り、余裕、緊張感、相手の看破、軟打、硬打、破壊力、掛け声、反復練習、意気、基礎体力、サーキットトレーニング、ジャンプ力、ネットプレー、サインプレー、チームプレー、個人プレー、アタック技術、セッターのトスワーク、サーブ力、チームワーク、アタック、エース、オープン攻撃、各クイック、時間差攻撃、平行トス、フットワーク、フェイント、スパイク、スライディングレシーブ、変化球サーブ、ドライブサーブ、回転レシーブ、ジャンピングサーブ、ブロック、ローテーション、珠回し、カバー、ウォーミングアップ、ムードメーカー、ポジションの範囲、体で覚えるバレーボール、などである。


また、その他諸々の観念が、頭脳に蓄積されていた。


これらの事項を習得させるとともに、


協調性、仲間意識、各児童の性格の把握、等を養っていかなければならない。


そして、バレーボールに於ける

、各児童の能力と、技能を高めていかなければならない。


このような認識を持っていた。


指導するに当たっては、大変なものがある。






ところが、この校長である。


おそらく、僕のことをよくわかていなかったのだろう、と思えた。


が、何となく「わかりました、やってみます」と答えてしまった。


気分を害しないこともなかった。




考えていたみてもわかるように、木造の古めいた校舎である。


しかも、体育館などは、あるはずがない。


現在では、かんがえられないほどの古い講堂である。



講堂内では指導できない。運動場で指導していかなければならない。


バレーボール部を創るのには、かなりの労力が必要で、不条件な基で活動を実施していかなければならない。


不安感も、持っていた。


けれども、引き受けたからには、仕方がない。


やる以上は、覚悟して実践していかなければならない。



僕は、バレーボールを指導していかなければならない立場になってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る