第2話 ボクちゃん 2 町の食堂

ボクちゃん 2

町の食堂




町は如何にも小さな田舎町である。


その風情もあまり親近感を持つことができなかった。


町の風景にも少しの違和感を覚えた。


取り敢えず腹ごしらえをしようと思った。


町の中央にある並木道を急ぎ足で駆け抜けた。


そして街角にある小さな食堂の暖簾をくぐった。


そして盛り合わせを注文した。


実は僕の一番好きな食べ物が盛り合わせだった。







店の主人は一種独特で、不吉兆な面構えをしていた。


初対面であるのに僕に対してまるで小坊主を顎であしらうかのような仕草で盛り合わせの料理を持ってきた。

一見よそ者扱いをしているよいな横柄な態度で接してきたようにも思えた。


そして「お宅は何処から来たんだ」「どんな仕事をしてるんだ」と根掘り葉掘り、根も葉もないことを聞いてきた。


少し睨み付けるような眼をして、僕を尋問にかけるように問いかけてきた。


僕としては、「関係ない」と思うような事ばかり聞いてくる。


少し腹立ちを覚えたが、着任そうそうこの店の主人を相手に喧嘩をするわけにはいかなかった。


本来ならば、この辺でイチャモンがつくところである。一悶着が起こって、何か騒ぎが起こりそうなところである。


少しイザコザが起こって喧嘩がはじまっても不思議ではない。


ところが僕の場合はそうではなかった。


空腹と仕事のため余裕がなかった。またまともに相手にする気はなかった。


そんな心境で昼食をとったので、味のほうは全くわからなかった。


美味くもなく、不味くもなく、何とも言い様のない味だった。





後で聞けば、この店は、この田舎町では、かなり名のとおった老舗とのことだった。が、とにかく、食事を早く済まそうと思った。頭を切り替えて、肩を透かせて店を出た。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る