ボクちゃん

中村繁一(佐々木次郎)

第1話 ボクちゃん 1 四月一日

ボクちゃん 1



四月一日 






四月一日、僕は、とある片田舎の教育委員会で辞令を受け取った。


小さな町役場の二階の片隅の一室である。


男女五、六人の新任教師が立ち並び、教育長から指導助言を与えられた。


新任教師達は何か気が張りつめたような緊張感のある趣で聞き入っていた。


僕も含めてである。

やはり全員正装である。

男子教師達は背広でネクタイをしめている。


流行の濃紺のスーツ姿である。


女子教師達もセンスのある正装で面している。


部屋の上段には教育長をはじめ、教育関係の人が構えている。



男女新任教師達全員が深々と頭を下げ、室内は何とも言い様のない気配が、流れ出ていた。


少し圧迫されたような雰囲気も感じられて、室内は緊迫した空気も流れていた。


僕もそうだったが、他の教師も一抹の不安感を抱いているような姿をしていた。





教育長の顔を見れば、教育者としての風格が備わっていて、その顔、姿には少し圧倒されるような風格があり、その言葉には納得のいくような内容がふんだんに付着していた。


そして儀礼的な挨拶を交わし、室内を出て、町役場の廊下を歩いた。

この町役場独特の気配が感じられた。


何となく薄暗くて、雰囲気にも何処か馴染めないようなところがあった。





少し変な気持ちを持ちながら、何気なく外へ足を踏み出した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る