第144話 おっさんは、出掛ける
少し時間に
ルビーはおっさんを見つけると、すぐに
「おはよう
「ん、おはよう。今日は収穫祭だが、ルビーはどうするんだ?」
「寮の管理を
ルビーはいつだって仕事に
とはいえ、サファイアとは出かける約束をしているのに、ルビーに仕事させるってのはちょっとおっさんの良心が
「なあルビー。だったらさ、夜はおっさんと出るか? 収穫祭は夜までやってるからな」
ルビーは目を丸くすると、持っていた鋏を落としてしまった。
「い、
「良いもなにも、サファイアだけを
「
ルビーは涙目になりながら震えて感動していた。
そんな
「サファイアとおんなじねえ。
「それだけルビーも良い子だから、ご
「もーっと良い子がここにいると思わない? ねえご褒美は?」
「よくまあ自分をそんなに
「当然でしょ、自分が好きなんだもの」
血がつながっていないとはいえ、ガーネットはとことん陽キャである。
おっさんとは
「はいはい、じゃあご褒美に
「もう私子供じゃないってば!」
ころころ
ただおっさんの愛情表現ってのは
ガーネットの光沢のある金髪の頭を優しく
「ん、良い子良い子」
「もう、やっぱり子供扱い……兄さんからしたらやっぱり子供なのねぇ」
ガーネットはそう言うとそっとおっさんに肩を寄せた。
まあ義妹はいつだって可愛い子供だよな。
「それじゃ、兄さん行きましょう」
「ああ、ルビー、行ってくる」
「はい、行ってらっしゃいませ、主様、ガーネット様」
ゆっくり歩き出すと、徐々に
一歩一歩はおっさんの方が早いから、なるべくガーネットに合わせるが、ガーネットは気にしない。
ガーネットは上機嫌に「ふんふんふーん」と鼻歌を歌って、
「兄さん兄さんっ! 最初は
「落ち着け、サファイアと合流してからな?」
「ぶーぶー! たまには二人っきりで遊ぼうよおーっ!」
「ガーネットがそんなワガママ言うなんて、
ガーネットは多少ワガママな性格ではある。
はっきり言えば
とはいえ、大人のレディを自称するガーネットにしては珍しいものだ。
「今日は子供だもーん! だからねーねー!」
「あれ……ダルマギク、さん?」
ピシッ、超甘えまくっていたガーネットの表情が
ガーネットに視線を送っていたのは古風な
ガーネットより若く一回り小さい、凛とした顔立ちはガーネットと負けず劣らずの美人だが。
もしかしてガーネットの知り合いだろうか?
「あ、あらー、おほほ、ごきげんよう。テティスさん」
テティスという子はガーネットの
同じエルフだが、テティスさんは幼く見えるが逆に落ち着いている。
一方、ガーネットの方が年上のように見えるが、こっちは
なんかあべこべというか、対象的だな。
テティスさんは、正に
「ダルマギクさん、呼吸が乱れてますが大丈夫ですか?」
「あーうん、気にしないで、ははっ」
「おいガーネット、知り合いか?」
おっさんはガーネットに耳打ちすると、ガーネットは小さな声で返事した。
「前に一緒に冒険してね?」
「つまり、同業者か」
「あの……
テティスさんの不審な目はおっさんにも向いた。
ガーネットに比べると目つきは優しいが、どこか
「あはは、この人は兄さんなの」
「どうも、義兄のグラル・ダルマギクです」
とりあえず丁寧に頭を下げる。
テティスさんはというと、おっさんが兄だと聞くと、驚いた顔でおっさんとガーネットの顔を交互に見た。
ああ、その反応は分かる。まぁ種族が違うもんな。
「私養子なのよ、兄さんのこと、説明してなかったっけ?」
「初耳です……なるほど、あれがダルマギクさんのお兄さん」
あれ。ガーネットはあからさまに嫌な顔をした。
意外と
「ガーネット、
「私が彼女と?」
「どうせ目的地は同じだろ、おっさんは一足先に戻ってる」
そう言うとおっさんは
ガーネットは
「同じエルフ同士仲良くな!」
最後にそう言うと、おっさんはその場を後にした。
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