第136話 おっさんは、決闘の最後を見守る

 時刻を迎えるとシドは現場に戻ってきた。

 王国側代表は二戦目までと変わらずウィルス君とシューベル君。

 とりあえず想定外のピンチヒッターがいなかったのは不幸中の幸いか。

 対して学園側代表はアルトとテンだ。

 決闘最終戦は二対二の変則ルール。

 学生達もまた、こんな実戦を想定したようなルールは未体験だろう。


 「アルト、お前魔法使いと戦った経験は?」

 「ある訳ねえだ、オラそもそも魔法科受講してねえし」


 そりゃそうか、アルトはバリバリ剣術科で結果を出す生徒だもんな。

 村に錦を飾ると息巻いて、メキメキ力を付けてきたんだ。


 「ならおっさんからアドバイスだ。魔法はそれほど万能じゃない、咄嗟とっさに魔力は練れないし、魔法使いは接近戦が苦手だ」

 「そうなんだか? でも後方から魔法で圧倒されたら手が出せねえだ」

 「そういう相手の勝ち筋を作らせないのも、前衛の務めじゃないか?」

 「うーん、兎に角オラ頑張ってみるだ」

 「ああ、ルルルを守ってやれ」


 アルトは頷くと、ルルルに振り返った。

 ルルルは目をつむり精神統一をしている。

 魔法使いの修行の一環だが、流石に余念がないな。

 非常に努力家な所はおっさんも評価するが、如何いかんせん実戦経験は皆無、その上実力不足も露呈している。

 だからこそ余裕がない、ルルルじゃなくても学園の運命が掌に載るなら誰だって萎縮いしゅくするだろうが。


 アルトと比べてもやはりルルルには不安がある。

 アルトとルルルは背丈も同じ位で、年齢も同じ。

 同じ国語科を受講して、仲もいい。

 アルトなら見事前衛の務めを果たしてくれると信じたい。


 「代表前へ!」


 時間だ、ルルルは目を開くとゆっくり前へ出た。

 アルトも剣の調子を確かめると、試合場へと進む。


 「泣いても笑ってもこれで終わりだねえ」

 「負けるつもりはないだ、オラ学園を失いたくねえ」

 「こちらも学園や君たちにも恨みはない」

 「たくっ、元々はウチの理事長が始めちまったもんだ……やるせねえぜい」

 「無駄口はそこまでや、サービスで負けてくれるんなら別やけどな」

 「そりゃ手厳しいねえ、流石に俺ちゃんも負けてはやれんのよ」


 生徒達はこんな状況にも関わらず軽妙な言葉で舌戦を広げてるな。

 それに対してルルルの奴、やはり気負っているか?

 アルトはあまり変わらないが、さてどうなる。


 「それでは試合開始!」


 シドの号令と共にまずアルトとシューベル君が抜刀した。

 そしてすかさずルルルは後ろに飛び退く。

 よし、ルルルはそれでいい。

 後はアルト次第だが。


 「へっ、あっちのツインテールの娘、怖気づいたかい?」

 「先ずは剣士の方を先に仕留めるぞ、シューベル!」


 こっちも予想通り、ヘイトはアルトに集まる。

 先に数を減らすのは戦術の定石だから正しいが、それは彼我戦力差ひがせんりょくさが等しい場合は、と条件が付く。

 果たしてアルトはこの場を凌げるか?


 「くらえ! 火球ファイアーボール!」


 先ずは先制攻撃を仕掛けたのはウィルス君だ。

 小さな炎の玉はアルトに正確に打ち出された。


 「てぇいっ!」


 アルトは咄嗟の判断で剣を素早く横薙ぎ振り抜く。

 火球ファイアーボールの魔法を切り裂いたのだ。

 これにはウィルス君も目を見開いた。

 達人の一部は平然と魔法を切り裂くが、アルトがそれをやってのけるとはな。

 超達人のコールン先生がそりゃ信頼する訳だ。

 ウィルス君はアルトへの警戒を強める。


 「火球ファイアーボールが通じないのか!」

 「厄介な少年だねえ! だがよお!」


 今度はシューベル君がアルトに斬りかかる。

 素早く振られる斬撃、しかしアルトはこれも剣で弾きながら凌いでみせる。

 正攻法にはとことん強いなアルト。


 「ちっ、これでも捉えられねえか!」

 「任せろ、雷撃ライトニング!」


 今度は電撃か、これにはアルトも弾けない!

 ただ人族の扱う雷撃ライトニングの魔法はそれほど威力は出せない。

 むしろ問題は動きが止まることだ、正念場だぞアルト!


 「貰ったっ!」


 シューベル君がこの好機を逃す訳はない。

 袈裟懸けさがけで構え、アルトに斬りかかる。

 アルトは反応が僅かに遅れた、その結果アルトの剣が弾かれる。


 「ッ! やっちまっただ!」

 「おし、そのままやられてくれよ!」


 王国側が一気に畳み掛ける!

 これは不味い――と、その時だ。


 「はああ……っ! 雷撃ライトニング!」


 不意にルルルが雷撃ライトニングの魔法を解き放った。

 魔法はシューベル君に直撃すると、彼を怯ませた。


 「ちぃ! あと一歩のところだったのに!」

 「あの少女、放置するのは危険かもしれない!」


 蚊帳かやそとだったルルルに注目する二人、ルルルは勝ち誇った顔で挑発した。

 勿論虚勢きょせいだ、彼女の背中は今も恐ろしくて震えている。

 ここからは攻撃がルルルにも向くのだ、恐ろしいに決まっている。

 だがルルルは己の役割と向き合い、戦っている。


 「そうだルルル。魔法使いは臆病で冷静になれ、短絡的にはなるな」


 おっさんは小さな声で、ルルルに声援を送った。

 レイナ先生も手を握って見守っている。


 「へっへーん! 鬼さんこっちらー!」

 「見たところ魔力はそれほどでもない! 僕が仕留める!」


 魔法使いには魔法使いを、ルルルの対応はウィルス君がするようだ。

 しかしそうなるとアルトとシューベル君がタイマンで戦わないといけなくなる。

 既に二人の戦いには決着がついている。自力ではアルトの方が上だ。


 「ち! 速攻で決めてくれよぉ! 長くは保たないんだからなあ!」


 シューベル君は直ぐに戦法を変えた。

 防御よりのやや腰を引いた構え、防御の構えなら充分に持ち堪えられるという算段のようだ。

 だがアルトはこの状況で選択肢が二つあった。

 一つはシューベル君を一気に打倒する選択、もう一つは――。


 「オラの相手は!」


 アルトが選んだのは――ウィルス君への急襲だった。

 想定外に面を食らったのはウィルス君だ。アルトはおっさんの言葉を忘れていなかった。

 魔法使いは接近戦に弱い!


 「やっぱりそこまで素直じゃいてくれねえか! 楽じゃないねえ!」


 慌ててシューベル君は構えを切り替えた。

 アルトを追うように後ろから突きを放つ……が。

 アルトは突きを貰う直前加速した、間合いを見誤ったシューベル君は流石に面食らう。

 完全なファンブルだ、アルトは表情も変えずただ剣を構えた。


 「オラ負ける訳にはいかないだ……!」


 そう言って、アルトは振り替えるように剣を円に振るう。


 ガッキッィィン! と、凄い音が破裂した。

 シューベル君の剣が上に弾かれたのだ。

 いやむしろこれを咄嗟とっさに剣で防いだ事は称賛に値するだろう。

 それだけ千載一遇せんさいいちぐうの機会だった、とはいえこれはの勝ちだ?


 「ヘヘッ、腕が痺れるねえ。やっぱり敵わねえや……けどさ、これはの勝ちかねえ?」


 負けた筈のシューベル君が勝ち誇る。

 その理由は明白だった。

 シューベル君の勝ち筋は初めから何も変わっていない、時間を稼げば勝ちなのだ。

 アルトの時間を奪えば奪うほど有利になるのは王国側だ。

 そう、ルルルに目を向ければ、ルルルは一方的に攻められていた。


 「火球ファイアーボール!」


 ウィルス君が練る火球ファイアーボールの魔法は、赤く赤熱し、空気を焼き尽くす。

 彼の号令によって放たれた火球ファイアーボールは逃げ惑うルルルを襲った。


 「くう! あああっ!?」


 爆炎がルルルに襲う。ルルルは間一髪直撃は逃れたが、爆発に吹き飛ばされた。

 ルルルは試合場を転がると、必死に立ち上がる。


 「熱……っ、ハァ、ハァ!」


 ルルルは泣きそうになりながらも歯を食いしばった。

 足を焼かれたのか、ルルルの足には痛々しい痕がある。

 おっさんの隣、レイナ先生は必死に祈りながら震えていた。


 「お、お願いルルルちゃん……どうか無事で……!」

 「………ルルル」


 おっさんは強く手を握り締めた。

 ルルルの足の火傷は俺が絶対に治してやる。

 勝てとも言わない、ただルルルのやりたいようにやらせてやりたい!


 「ルルル! 歯を食いしばれ!」

 「おっさん!? ッ!」


 ウィルス君は勝ちに来ている、当然手加減をしてくれる余裕もない。

 戦術級の実戦経験なんて、子供たちには全くないだろう。

 だからこそこれは個人技ではない。

 実力も才能さえもルルルは劣っている。

 だが、それが負け筋ではない。

 おっさんは実戦を知っているからこそ、ルルルの勝ち筋が分かった。


 「足掻あがきますね……いい加減倒れてください! 閃光レイ!」


 光の魔法は線条せんじょうとなり、無数の光線がルルルへと降り注いだ。

 ルルルは咄嗟に魔法の障壁マジックバリアを展開するが、ルルルの魔法の障壁マジックバリアは薄い膜のようだ。

 閃光レイはそんな頼りない魔法の障壁マジックバリアをいとも容易く破壊し、無数の閃光がルルルに降り注いだ。


 「終わったな、後は厄介な剣士の方を二人がかりで……ッ!?」


 勝ちを確信したウィルス君が後ろを向いた刹那、一筋の雷撃がシューベル君の背中に襲いかかった。

 ルルルの雷撃ライトニングの魔法だ、ウィルス君は表情を苦痛に歪めると、ルルルに振り返った。


 「ぐう! 馬鹿な!? まだ倒れないのか!?」

 「ハァハァハァ……! なんや? もう終わりか? 案外いいとこのエリートも情けないなあ?」


 そこに立っていたのは満身創痍まんしんそういのルルルだった。

 見るからにボロボロで、立っているのもやっとのルルルだが、ルルルは笑っていた。

 ルルルの放った一筋の雷撃ライトニングは威力も低く、ほんの少し相手を怯ませる程度の威力だが、ウィルス君のは確実にルルルに


 (人族の扱える雷系魔法は威力が知れている。だがルルルの適正検査で出た得意属性はまさかの雷だった)


 おっさんはあの決闘にルルルが志願した日を思い出した。

 当初決闘はテン一人をおっさんとレイナ先生の二人がかりで仕上げる計画だった。

 だがルルルの志願におっさん達は悩むも、結局は熱意に負けて予備として鍛える事になった。

 ルルルには才能がない、少なくとも現時点では。

 だがルルルは努力家だ、魔法の世界は努力よりも才能の比重の方が重いとはいえ、おっさんはルルルの性格に賭けた。


 ――その結果が、今実ったのだ。

 ルルルは笑っている。風前ふうぜんともしびのような姿を晒しても。

 そしておっさんもそんなルルルの健闘を称賛する、彼女は己の役目を全うしたのだから。


 「足もフラフラの癖に! さっさと倒れれば楽になれるでしょうに!」

 「せやろな、けどウチはどうせ勝つなら倒れてるんは嫌や、負けず嫌いやねん」


 ウィルス君が魔力を練る、得意としているのか火球ファイアーボールで決めるつもりのようだ。

 だが、それは致命的なミスだった。

 背後から迫る小さな影を見落としていたのだから。


 「おっさん――国語の先生が言ってたで、魔法使いは卑怯になれってな?」

 「なに――が!?」


 直後、ウィルスの背中をアルトの剣が捉えた。

 模造刀で刃は削がれているとはいえ、思いっきり背中を叩いたのだ。ウィルス君は苦悶の表情を浮かべて、前のめりに倒れた。


 「シュー、ベル……?」

 「悪ぃ、抑えきれなかったぜい」


 シューベル君を見ると、彼もまた座り込んでいた。

 アルトは念の為に剣をウィルス君に向ける。

 この結果、どう見ても――。


 「ウチらの勝ちやーっ!!!」


 ルルルの雄叫びに、喝采が湧いた。


 「やったやったーっ! ねえ勝ったわよ! グラル見たでしょ!?」

 「ええ、やりましたルルルは見事逃げ勝ちしましたよ」

 「ゆ、夢でも見てるんじゃないかな……アタシ、ねえグラル、頬つねってもいい?」

 「なんでおっさんに聞くんですか、て、痛てて! おっさんの頬つねらないで!」


 ある意味で一番悲観していたレイナ先生はまだ決闘に勝った事を信じられないようだ。

 自分の顔ではなく、おっさんの頬を思いっきりつねるのは、気が動転しているせいだと思いたいが。


 「……そこまで、この結果、誰の目に見ても我々学園側の勝利、ですね?」


 アナベル校長は凛とした声で決闘を終わらせると、毅然とした態度でシドの下に向かった。

 シドの顔は静かに怒っているようにも見える、だが決闘の結果に口を挟む様子はなかった。


 「まさか、な……負ける筈はなかった筈だが」

 「子供たちの可能性を信じられないならば、教育者として失格では?」

 「その言い方、ふん……トーマスの入れ知恵か」

 「父の、良き友人と聞きましたが」

 「トーマスの考え方は甘い、だが奴には借りもある……何より一理ある奴だった」


 シドとトーマス、王国側と学園側の教育者のトップには考え方に相違あれど、互いをリスペクトする友情はあったのだろう。

 おっさんには好々爺で何を考えているのかイマイチ分からないトーマス理事長が、この妖怪爺さんとは案外似ているようにも思えるが。

 しかし何よりシドとその娘のアナベル、この二人はやっぱり似ているよな。

 凛とした態度、自分を強く持つところ、そして案外傲慢なところも。

 ダブスタくそ親父の娘も似たような者というオチだな。


 アナベル校長は万感の想いで僅か体を震わせると、今まで聞いたこともなかったような大きな声で宣言した。


 「学園側の要求は! 金輪際学園側への干渉を禁止します! カランコエ学園は独立した民間運営としてこれからも経営していきます!」

 「……好きにしろ、それが決闘の勝利者の権利だ」


 シドはそう言うと、アナベル校長に背を向けた。

 アナベル校長は胸に手を当て、シドの背中を見つめている。

 そういうところだぞ、アンタら親子が似ているのは。


 「しょうがない、今日はおっさんサービス残業としましょうか」


 おっさんはそう言うと、纏わりつくレイナ先生を無理やり引き剥がし、アナベル校長の背中を優しく押した。


 「グ、グラル先生?」

 「言いたいことあるんなら、言いなさい。言葉が少ないから勘違いされるんだからさ?」


 この親子は基本的に頭が良いインテリ親子だ。

 才能にもさぞ恵まれたのだろう。

 家柄も良い、非の打ち所がない。

 だが致命的な程今抱えていることを口に出さないのだ。

 シドも同様だ、いきなり主語が出るから反発される。

 この親子は変なところで不器用なのだ。


 「あ、あのっ! お、お父さん!」

 「……なんだ? アナベル」


 アナベルさんは不安そうな顔をして俯く。

 きっと色んな想いが積り過ぎて言葉に上手く変換出来ないのだろう。

 だがアナベルさんは掌に何かを指先で描くと、直ぐに真剣な眼差しでシドを見た。

 あれはおっさんがアナベルさんに教えたまじないか?

 なんの意味もない、気の持ちようでいくらでも変わる呪いだが。


 「私は父さんが嫌いです。父さんのやり方が嫌いです。父さんの傲慢さが母さんを追い詰めた事も許しません。ですが……対話を拒絶しても意味はないでしょう……」

 「……ふん。嫌われたものだな」

 「だから、だから貴方の事は好きにはなれませんが! 私達には過去を精算する義務があると思いますっ!」


 アナベル校長の美顔は台無しな程真っ赤だった。

 こんなに感情を剥き出しにして、兎に角言葉を必死に出そうとする彼女は、しかし微笑ましくもある。

 そんな娘を見てシドは微笑を浮かべた。


 「今更だが、ワシの跡を継ぐ気はないか?」

 「……いいえ、私はこれからもカランコエ学園の校長であり続けます」

 「そうか……お前には厳しくもワシの理念を伝えてきたつもりだったが」

 「理念……そうでしょうね、貴方からは色んな事を学ぶ事が出来ました。そのお陰で疑問を持つことも出来たのですから」

 「疑問、だと?」

 「もしもこの討論を続けたいなら……続きは二人で食事でもしながら……としましょう。対等な教育者として」


 そう言うとアナベルさんはすっきりしたように晴れやかな顔で微笑んだ。

 対等な教育者として、という言葉はシドにも効いたようだ。

 シドは目を丸くすると、普段どおりの厳つい顔で俯いた。


 「教育論か、悪くない」


 ――こうして、学園の存亡を賭けた決闘は終わりを告げた。

 決闘でおっさんが得たものはなにもないが、生徒達は一皮向けたように思えた。


 「よお少年、大したもんだぜい。アンタみてぇなのがカランコエ学園じゃ普通なのかい?」

 「お、オラより強い生徒は一杯いるだ」

 「敵わないねえ、これでも俺ちゃん王立騎士学校じゃ、最優秀なんだぜい?」

 「ふん、実力はあっても、不真面目な貴様ではな?」

 「ウィルス君、言葉の棘が痛いねえ。それ言ったらウィルス君も、今じゃ実力はナンバー2って噂だぜい?」

 「ふ、ふん! 彼女と僕ではやり方が違うだけだ! 僕はもう王立魔導師団にスカウトもされているんですから!」

 「魔導師団!?」


 あちゃ、あえて教えなかった言葉に過敏に反応するルルル。

 おっさんが取り急ぎルルルの治療を行っている最中に上体を持ち上げた。


 「おっさんおっさん! あの子魔導師団って今言ったか!?」

 「……今は動くな、治療中だぞ」

 「うう……そっかー、あれが魔道士団級の魔法使いなんか、あれくらいの実力になれればウチだって」


 ルルルは負けた方とは対照的にボロボロで動ける状態ではなかった。

 魔力ももう底を突いているし、本当に勝者とは思えない姿だ。

 しかしそれでもルルルは勝った。そしてルルルの表情は今夢に溢れている。

 彼女の夢は王国魔導師団への入団、その果てなき夢の到達点に初めて触れて、そして現実を知った。

 普通の学生なら、あまりのレベル差に絶望するだろう、彼はそれほど優秀だった。

 だけどルルルは違う、あそこが到達点だと知ると、むしろ希望を見出していた。

 ルルルにとって後四年、しかしそれは四年もある。

 生徒の可能性を信じる、トーマス理事長の教えだが、おっさんも今は信じてみようと思う。

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