第89話 真祖との闘い-終
不動が技を放つ。
時空神の力が込められているようだ。
ドクンッ。
時が止まったかのように辺りはシーンと静かになり、景色はモノクロに変わる。
崩界。
時間という世界を構成する原初の力。
その強大で抗う事のできない力。
時間を止めるとは正に世界を崩壊させる事の出来る力である。
人の時間を止めるのではない。
世界の時間が止まったのだ。
その力の規模は想像を絶し、計り知れない。
真祖ヴァニキッシュの大技『
その巨大で禍々しい戦斧からは神を呪う力を感じる。
神の体であってもその呪いは猛毒となり、例え不死だろうと永遠に猛烈な痛みを与え自決する方法を考えるだろう。
だがヴァニキッシュの動きは停止しており、その顔は強烈な憎悪に染まっている。
少しずつ少しずつ動き出す。
「そ、ん、な。ばかな。何が……???」
ヴァニキッシュが動き出した頃には
世界が断ち切れていた。
轟音、轟音、轟音。世界が歪み、そして戻ろうとする強烈な音。
崩界による時空間への干渉。
その力はこの世界に存在する物質を空間ごと断ち切る事が可能である。
その空間の歪みは
まるで世界は表と裏に切り分かれたかの様に錯覚する程であった。
闘神VS神になりたかった者。
神話の戦いに人類は巻き込まれたのだと
衛星カメラを通じ、世界の人々は理解した。
この時得た確証により、人類は急速にダンジョンや魔物などの神話的存在への研究が進歩し、ハンターは神々の使徒であると、後に発表される事になる。
何故の使徒なのか。
それはまだまだ彼等には分からない。
神界で何が起こっているのか。
人類ごときには神々の思惑など到底理解出来ないのだから。
そして、真祖ヴァニキッシュとの闘いが一瞬の内に終わり、SS級ダンジョンは赤色ゲートから青色へと変わった。
人類を滅ぼしかねない地獄の門が人々を幸福にする天国の門へと転換した。
人々はゼノン、いや、不動を英雄とし、この物語は永遠に語り継がれる事になる。
そんなゼノンを待っている男が一人。
彼もまた剣神と呼ばれ、だが神にはなれなかった哀れな人間であり、人間を超越した人間であり、そしてゼノンの親友である。
戦闘が終わりヴァニキッシュにより力を吸われ、苦しんでいる人々に力を分け与えた後に
不動は霧雨の元へ転移した。
昔の記憶が蘇る。
【闘神回帰】[100%]
これにより戦闘以外の前世の記憶を全て鮮明に思い出した。
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ユニークスキル『闘神回帰』が
究極スキル『
究極スキル『
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「待ち侘びたのだよ……ゼノン。すっかり見た目も変わってしまったのだよ。」
「霧雨……。ふっ。懐かしいな。」
目から涙が溢れる。
少し塩っぱい、太陽の光によって輝く美しい涙が地面へと落ちる。
「我が親友よ。盟約の為、我も力を借そう。いや、盟約が無くとも我は……。」
強い決意が感じられるその目に、不動は心が救われた様な気がした。
「ありがとう。」
剣神【霧雨】。
かつて神々に愛されし闘神ゼノンに剣術を教えた。
その剣は全てを切り裂き、魅了し、数多の剣士の憧れであった。
亜神をも容易に切り伏せ、神をも飲み込む霊獣すらも一太刀で屠る。
そんな圧倒的な猛者が世界を超え、不動の仲間となった。
✳︎
作者です。
この話で一人仲間が増えました。
不動の元ネタである
不動明王には矜羯羅童子(こんがらどうじ)と
制多迦童子(せいたかどうじ)という眷属がいました。
神にはなれなかった男にしたのもこの為です。
眷属にすることで果たして神へと至れるのかはまだまだ秘密ですけどね。ってわかるか笑
そして闘神回帰スキルですが、
50%からいきなり100%まで上がっていることについても詳しく幕間か本編かは分かりませんが、書こうと思います。
ちなみにですが、
戦闘に関しての記憶のみ思い出される仕様になっています。
ただそこに付随する形の思い出や人物などの情報はパーセンテージが上がれば上がるほど詳しく思い出されます。
記憶のモヤが少しずつ晴れていく感じですね。
80%を超えた辺りからは大体の記憶はありますね。
強者との戦闘。
つまりEX級のダンジョンマスターとの戦闘訓練により正直、かなり思い出されました。
その辺りも詳しく書いていないのでまた後日。
思い出される度に過去の話、異世界ベルセルク編の回想に行ってしまうので敢えて省きました笑
あとは話が複雑になりそうで訳わからなくなるのがそれを止めたい自分といや書かなきゃっていう自分と争っている感じで混乱しています笑
長編になってくれれば良いな。
あと崩界という技に関して
まず発動すると
時間が止まります。
その後に空間へ干渉し次元斬のように空間と物質を切断します。
死にます。という厨二全開の技です。
というか全てが厨二で構成されていますが笑
ということで読んでくださってありがとうございます。
今後ともよろしくおねがいしますね。
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