第85話 災害の本格化
【霧雨】と名乗る謎の男が地面へ座り込む。
今、行った万を超える魔物を一撃で討伐した攻撃は誰も彼も何をしたのかわからなかった。
「なんだったんだ今の攻撃。刀を振ったのはわかった。でも……。」
「あぁ。あんなの神様でも無ければ絶対に無理だ。奴は一体………何者なんだ。」
「ちょっと待って。まだ終わってなくない?ゲートの色が……。」
ゲートの色は赤のまま。
ダンジョンブレイクは、おさまっていない。
「来るぞ。」
「えぇ!?まだ回復出来てないんだけど。」
先程のスタンピードで魔力、気力、体力の殆どを使ってしまったS級ハンター達。
ハンターには最早為す術がない。
スタンピードが
アメリカ全土を襲う。
避難した人々は魔物に襲われるが、ただの人である為、戦う力も持っていない。
四肢はちぎれ、食い殺され、嬲られる。
助けに来たハンター達は
皆がA級以下であり、一般人と同じく魔物の脅威に立ち向かう事はできなかった。
広大な国土を持つアメリカだとしても、人智を超えた力を持つ高位の魔物には勝つ事はおろか、ただ蹂躙される。
何とか被害を抑えようと全世界からハンターが集結したが力及ばず、既に国民の2割は生き絶えた。
無駄だと分かっていても科学兵器を使い、ただただ焦土と化すが、魔物は不思議な力で守られているかの様に無傷だった。
絶望する国民。
どうすればいいかわからず、ハンターに縋り付くのみ。
悲しみと虚しさに溢れる街を見て、ハンター達は己の力の無さを呪った。
もっと力があれば倒せたのに。
もっと力があれば守れたのに。
もっと…もっと…もっと…。
圧倒的に人類が不利な状況で、一人の青年がアメリカ本土へ到着した。
「遅くなってしまった。まだ間に合うか。
神力と魔力を混合させ、アメリカ全土を覆い尽くす。
傷つき、死んでしまった者でも24時間以内なら巻き戻す事が出来る。
親しい人が、愛する人が、大切な人が生き返る。
それがどれほど幸せな事か。
涙を流し、嗚咽する。
人々は何が起こったのか分からなかったが
その神の奇跡に感謝した。
空に飛び立ち、状況を観察する。
「まずは、このクソほど多い魔物の群れからだな。」
「闘神剣【絶技】夢幻追太刀!!」
刀を振り下ろす。
そろそろ億を超えそうな魔物達の動きが一斉に停止する。
ブルブルと体が震えている。
目が開き、痙攣が激しくなっていく。
すると、魔物の首に一筋の線ができる。
ブシュアアア!!
首と胴体が切断され、血が吹き出す。
辺りは一面真っ赤に染まり、鉄の臭いが充満する。
✳︎
カリフォルニア州。
SS級ダンジョンのゲート。
「くははは。やるなぁ。流石だねぇゼノン。」
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