第83話 SS級ダンジョンの崩壊

 世界会議が終わり2日が経過した。

世界支配級探索者、つまりS級ハンターは各々が戦いに備え、精神的に極限の状態へと至る。


 誰もがSS級ダンジョンなど経験した事もなく、どんなモンスターが出現するか不明だった。


 ネバダ州に隣接した地域。


 集結したS級ハンターは準備万端。


 完璧な布陣だ。

これで攻略不可能であれば人類に未来はない。

まさに世界のドリームチーム。


 巨大なゲートが青から赤に変わる。

ダンジョンブレイクの現象だ。いよいよ、世界最高難度の人類の生き残りを懸けた戦いが始まろうとしている。


 バチバチバチと大きな音を立てて、ゲートから出てきたのは、人間の男だった。


 魔物を予想していた人達は少し安堵し、気を抜いた。


 だがその瞬間、世界が傾いた。

ハンター、ビル群などが軒並み倒れている。


 何をされたのかも何時されたのかも分からない。


 理解が追いつかないハンターは、急いで体勢を立て直し、男へと攻撃を仕掛ける。


 全方位からのスキル攻撃。

或いは、魔法攻撃。


 その全てが簡単に防御され、傷一つついていない男に震撼する。


 「き、効いてない。本気ではないとは言え、俺たちの攻撃だぞ。これで終わっててもおかしくはない。いや、過剰な攻撃だったとすら思えた。」


 中国のトップハンター、王偉が顔を歪ませ、信じられない者を見たかの様な反応をする。


 「そうね。今のでダメなら本気を出すしかないようね。皆、ユニークスキルを発動しよう。」


 その言葉を皮切りに、それぞれがユニークスキルを発動する。

もちろん、第二次元ユニークスキルを。


 それぞれが最高の一撃を放つ。


 神の力の一端ではあるが、紛れもない神の一撃を。


 男は持っていた刀をただ振るうのみ。


 「千切ちぎり

 

 男は一言発すると、ハンター達は世界が裂けるかの様に錯覚した。


 地球のトップハンター達が放った最高の一撃を全て斬り、消滅した。


 「うそ……。」


 「ば、ばかな…。」


 「俺様の一撃をただの剣術で、だと…。」


 驚愕し、絶望する。

こんな事がある訳ない。今までの敵とはまさに格が違う。そうまざまざと見せつけられた気がした。


 「この世界の人間は弱いな。これでは簡単に魔物共に飲み込まれるのだよ。」


 剣士の男は無表情でそう言った。


 

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