第80話 世界魔物協奏曲

 一つ伝えねばなるまい。

何故ゲートが出現したのか。何故魔物が現れたのか。それは異世界での出来事に遡る。


 異世界【ベルセルク】。

この世界は狂気と戦乱に依存し、常に戦いに明け暮れていた。


 国々は自国の事情と敵国の事情を常に監視し、考慮し、人のみならず魔物との戦いにも視野を向けなければならなかった。


 四王。

王である四体の魔物は強大な力を持ち、単体で一国の戦力を有していると言われている。

またの名を魔王と人々からは呼ばれている。


 そして、四王と敵国との戦いに当然の様に各国は疲弊していった。


 どんな大国であろうが、兵器を持っていようが、全ての物には限界が存在し、やがて朽ち果てる運命にある。


 疲弊したこの世界の国々はお互いに最高戦力である一人の人間を戦わせ、勝利国がこの世界の指針を決める権利を獲得出来るという条約を締結した。


 結果、一つの国が優勝する。


 その国が決めたルールは一つ。

全ての国が協力し、四王を討伐する事。


 各国はそのルールを遵守する様に神々との約束である契約魔法で縛りつけた。


 各国の最強の人間が協力しパーティを組み、四王の討伐へと赴いた。


 パーティの名は【一蓮托生】。

優勝国から6位までの国の最強の武人のみで結成されたこのパーティは四王の配下をモノともせず討伐していった。


 浮かれていたのだろう。

四王すら我らの相手になるものかと。


 北の魔王の討伐に一行は出向いた。

準備不足はなく、万全の状態で向かった。


 確実に魔王を殺し、他の四王も討伐するのだと意気込んでいた。


 結果、各国の最強は殺され、磔にされていた。魔法の深淵を覗いた北の魔王【終焉の魔王ジルク】によって。


 彼らの首のみ各国に送り届けられた。

魔法による移送と脅迫を同時に行われた。

その犯人として闘神ゼノンに疑いがかけられた。


 魔王ジルクは王子と魔王を両立し、世間を欺き、罪をゼノンへとなすりつけたのだった。


 そしてパーティが殺され。世界は絶望し、人間同士の終戦はもはやそれどころでは無いという判断により奇しくも憎き魔王によって叶えられた。


 駆逐、陵辱、蹂躙。

四王、その配下による人間への行いに天界の神々は嘆いた。


 そして魔法を司るラプラスの元へ出向いた。

神々はラプラスが司る魔法の領域へのアクセス権の譲渡を提案。しかし、断られた。


 何故か。


ラプラスは世界には魔物も人間も必要だが、どちらかに肩入れするつもりはないのだという。


 神々としてもそれは納得せざるを得ない。


 ならばと。


 神々は提案した。この世界の延命処置として四王を異世界へと転移させることを。


 ラプラスは世界には魔物は必要だと考えたが、もはや増えすぎてしまった魔物や強くなり過ぎてしまった四王を持て余していた為、それを許可した。


 神々は一人の男を異世界、地球という星の元に転生させる事を約束した。


 それが不動であり、転生前の名を

闘神【ゼノン•ゲート】と呼ばれていた男だった。


 世界から嫌われ、荒らし、そして世界一強い男を神々は信頼していた。


 神々はゼノンにラプラスとのやり取りやこの世界の危機を話した。


 その後、最強の男は魔王ジルクの討伐を叶え、神々との約束である異世界への転生を行った。あるアーティファクトを用いて。


 神々は魔力と神聖力を使い、この世界の殆どの魔物と残り三体の魔王を地球へと転移した。


 奴らに制限をかけ、猶予を作るために108個のダンジョンという鳥籠を創造したのだった。

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