第71話 鹿羽サイモンという男

 国家戦力級探索者、通称、A級探索者である鹿羽サイモン。

 年齢28。男。彼女は無し。


 水と氷の能力を持ち、その実力は日本でもトップクラス。そんな男が不動の元へとやって来た。


 「何しにきた。」


 「強くなりたいんです!!僕の故郷を…日本を守りたいんだ。不動さん!!お願いします!!僕を鍛えてほしい!!」

 

 必死に不動へと熱意を持って懇願する。


 「あのトーナメントにおいて、お前たちには心底ガッカリしたが…分かった。着いてこい。」


 不動はサイモンの熱意に応える。

探索者ギルドが持つ修練場へと鹿羽を連れてきた。


 「まずお前達に足りないものは何だと思う。」


 分からない。が必死に答えを探すサイモン。

思いつく限りの答えを口に出す。


 「スキルの理解度ですか?」


 「正解だ。俺達探索者は存在格は勿論だが、まずはスキルへの理解を深める事だ。スキルとは何だと思う?」


 「スキルとは…ですか。」


必死に脳をフル回転させるも答えが分からない。


 「ぐっ。分かりません。」


 「スキルとは、神々の権能だ。」


 「神々の権能…。」


 「そうだ。この世やあの世、異世界の神々だ。そいつらは気に入った者へとユニークスキルを与える。亜神は通常スキル、下級神は量産型ユニークスキル、それ以上の階級の神々からは世界に一人だけ、一体だけのユニークスキルを与えられる。まるで祝福いや、呪いの様に。」


 「その神々からの贈り物の事を知れば強くなれるんですか?」


 意味がまだわからない鹿羽。


 「ユニークスキルには段階がある。お前達は第一次元である『放出』でしか戦って居ないだろう。中には第二次元『憑依』を扱える者も居たが、稀だろうな。」


 「第二次元へと進む為には何をすれば良いのですか?」


 目が輝き始めるサイモン。


 「それを今から行う。お前の譲れないものはなんだ。」


 「俺の譲れないもの………。」

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