第64話 幕間:不動の才能と修行

 時は遡り、赤龍と黒鬼を討伐した後、不動は再度、時空神の権能を使い、EX級ダンジョン『ノアの方舟』のダンジョンマスターの元へとやって来た。


 「おっ。不動君じゃない。ようこそ〜。」


 「邪魔するぜ。」


 「どうしたのよいきなり。僕に会いたくなっちゃったとか?」


 からかい上手なダンジョンマスターは少しおちゃらけた。


 「それはない。いやある意味ではそうかもしれないな。ダンジョンマスター、俺と戦え。」


 ニコニコとしながらも目がギラついている。狂おしい程の戦闘をこいねがい。


 「ははは。まだ君じゃ相手にもなんないよ。でも修行をつけてあげるよ。記憶も蘇るかもしれないしね。」


 「頼む。」


 「じゃあ舞台を用意しようか。」


 そう言い指を鳴らすと一瞬で景色が変わる。


 ダンジョンマスターの権限により、どんな風にでもフロア自体を替えられる。


 その機能さえも。


 「じゃあまず記憶からだね。今の所、前世の記憶は50%くらいしか思い出せていない様だね。神々との盟約というのはそれだけ重いんだよね。」


 「あぁ。しかも戦闘に関しての記憶と強者との戦いでしか思い出せん。」


 「みたいだね。まぁ安心してよ。僕より強者は居ないから。」


 胸を張り、のけぞる少年姿のダンジョンマスター。


 「ふっ。偉そうに。じゃあそんな最強に相手になって貰おうか。」


 少し笑みを見せ、そして不動の戦闘のスイッチが入る。


 「まずは好きに戦おうか。その後、記憶の確認と前世を超える修行だね。その為に、まぁここの機能をイジって、ダンジョンと外との時の流れを変えておくよ。何百年と掛かるかもしれないしね。」


 「この体のスペックならそれほどかからん。記憶にある前世の体とは雲泥の差だ。」


 「たしかに。流石は神々の作り上げた体だね。僕よりも強くなれるよ。間違いない。」


 来る日も来る日もダンジョンマスターとの戦闘に明け暮れ、寝る時間、食事の時間すら修行の時間に当てられた。


 仙人の様な暮らしの中で、ついに才能が覚醒し、ユニークスキル『鬼才天選テンニエラバレタモノ』が、究極アルティメットスキル『阿修羅六道アシュラリクドウ』へと進化した。


(やはり君は選ばれし者だね。物凄い才能だ。残酷なまでに……。)


 その後進化した様々なスキルと修行の数々。

修羅と化した不動は嬉々としてダンジョンマスターとの死合いを繰り返した。


 こうして、たったの4年の修行で、前世の記憶を取り戻し、前世を超えたのだった。

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