第63話 幕間:異世界ベルセルク

 地球とは異なる世界。

その名は『ベルセルク』と呼ばれる。


 その世界は古の時代より人と人、人と魔物、人と魔人、神々との争いが絶えなかった。


 誰もが戦争というものを経験し、優しさや慈悲、幸福という甘ったるい理想とはかけ離れた人生を送っていた。


 平民でさえ。


 魔法やスキルという非現実的な力を用い、それは日々の生活から戦争まで幅広く用いられた。


 大天才魔法学者『トーマス・マカロン』は言った。


 魔法はラプラスが管理し、スキルは万を超える亜神を含めた神々が管理していると。


 根も葉もない空想に、世は疑いの目を向けたがトーマス自身は確証を得ていた。


 トーマスはこの考えと証拠を魔法師学会では発表せず、弟子のみに受け継いだ。


 弟子の間ではTM理論という名で代々受け継がれ、秘匿してきた。


 その確証とは、ラプラスと神々によりトーマス自身へと神託の儀が行われたからであり、その全てを知り、ラプラスと神々との約束により秘匿としてきた。


 その理論を用いれば、世は荒れ果て、最強、最悪の人間兵器が生まれるからである。


 それを世は魔王と呼ぶだろうと。


 トーマスが亡くなって300年が過ぎた頃、2人の男がTM理論を受け継いだ。


 1人の名をゼノン。

孤児であり、貧民街の生まれであり、しかし、神々に愛された子供であった。


 もう1人の名はジルク。

皇族の生まれであり、嫡男である。皇位継承権第一位。その子はラプラスに愛された男であった。


 両者は運命的に出会い、そして殺し合った。

大人になった両者は常人には到底、追いつけない実力を持つ。


 三日三晩戦い、地形は荒野と化す。

その場の生きとし生けるものは滅びた。

両者共に満身創痍、遂に苛烈な戦いに幕が降りた。


 魔王ジルクと呼ばれ、魔法の深淵に至り、英雄として名高いその男は、闘神ゼノンと呼ばれ、スキルの頂きへと到達した男に屈する事となった。


 闘神ゼノンは魔王ジルクを殺害したとし、世界から討伐依頼が出された。


 悪の象徴として。


 

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