第65話 決勝戦:火と山の戦い-1
惜しまれつつも残り一試合。
長い長いトーナメントは決勝戦となった。
火炎を操り、ユニークスキルを第二次元へと覚醒させた強者、火神灰人。
その将来性と苛烈な魔法、武技に人々は心躍らせた。
初戦から敵の攻撃は不動には通じなかった。何事にも動じない太山の様な実力に、人々は魅了され、感化され、猛烈に恐怖し、激しく憧れた。
このトーナメントのおかげで、世の人々は
社会への浸透もスムーズになり、劇的な変化が散見される未来が予測される。
そして、いよいよ武闘場に二人が相対す。
「いよいよ決勝戦。この戦いは瞬きすらも許されない。その至高の力に平伏し、喝采せよ。闘神、阿空不動!!」
「その激しい火炎は敵を
それぞれの紹介が済み、二人が武闘場で向き合う。
好奇心とやる気を見せる火神に対し、一ミリの興味も無さげな不動。
対照的な二人。
「では準備は宜しいですか!決勝戦、最後の戦い!!レディー!!!!ファイッッッ!!!!!!」
まずは火神が剣を抜き、炎化する。
炎の化身となり、剣にも炎を纏う。
剣を突き出し、剣先から爆発的な火属性魔力が収束する。
「炎化武技『覇道滅炎』‼︎」
以前よりも威力が増大した極太の火焔が不動へと迫る。
「炎化か。なるほど炎に愛されているな。」
不動は一言そう言うと、火焔をいとも容易くぶった斬る。
その刀剣には神気を纏い、煌びやかに輝いている。
「中々の威力。しかし、無駄が多いな。」
不動は炎化し、その火属性魔力は火神の比ではない。
そして火神と同じ様に突きの構えを取る。
「炎化武技『覇道滅炎』。」
不動の刀剣突き出しから火神の五倍はあろうかという火焔が火神へと迫る。いかに炎神に愛されていようと、神気が付与されたこの火焔を喰らってはひとたまりもない。
「くっ!!炎の神よ。俺に神炎を。」
火神は炎神の依代となり、ユニークスキル第二次元を覚醒させた。
神気を加えられた炎が火神に直撃する。
炎神化したことにより、それすらも吸収し、己の力とした。
「フェーズ2、炎神化か。ではこちらも。」
不動の体からバチバチと激しい音が轟く。
黄の閃光から紫へ変わり、やがて黒になる。
「雷神化。」
漆黒の雷を纏い、全身から神気が迸る。
その神気は火神の数千倍はあろうかという程だ。
左手を突き出す。
漆黒の雷を収束し、己の手から雷撃を発生させる。
「よけろよ。雷神武技『葬雷』。」
チチチチと甲高い音が鳴り、次の瞬間雷鳴が轟く。
すぐさま反応した火神だが、右半身が無くなっていた。
「え?」
白目を剥く火神。
「まだ終わらせんよ。
まるで、逆再生の様に火神の体が元に戻る。
「な、何が起こったんだ?俺の体は……。」
まるで実験台を見つけて喜んでいるマッドサイエンティストの様にニコニコと笑う赤い眼をした狂人がそこにはいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます