第57話 二回戦二組目、三組目
会場は1組目のライバル対決に大いに盛り上がり、そのボルテージのまま2組目の対決へと進む。
白樺颯太ランキング98位と滝谷瞳ランキング135位。
白樺のユニークスキル『
滝谷の『魔眼』は格下には滅法強いが、格上には通じないスキルであることから白樺の圧倒的有利な対決となった。
滝谷は魔眼が通じないと見るや否や、戦棍を使い、棍術スキルで何とか戦おうとする。
しかし、ユニークスキルの有無というのは大きく、戦闘力に差がありすぎる。
必死に戦棍術で対抗していたが、次々と現れる木々や蔓に絡みつかれ、最終的に植物に飲み込まれていった。
審判AIにより、勝者白樺颯太となった。
不動は今までの戦いに、心底失望していた。
自分が死に物狂いでダンジョンを攻略していた時間はかなり短い。
ダンジョンの時間軸と現実世界の時間軸ではかなりの差で現実世界の方が進んでいる。
それにも関わらず、この体たらく。
心を鬼にし、日本人探索者を鍛えようか悩む。
そこに、スタイル抜群な綺麗系美女がやってきた。
「あなたが阿空くんね。私は羽柴あおい。あおいって呼んでね。」
「羽柴?あぁ次の対戦相手か。悪いけど興味ないんだ。」
「酷いわね。その強さがあればその辺の有象無象なんて興味ないのも分かるけど。」
「分かってんじゃねぇか。お前もその内の一人だけどな。」
「でしょうね。じゃあそんな余裕な貴方の体に私の攻撃が掠りでもしたら弟子にしてほしいんだけど。」
「弟子ね……良いぞ。でも掠りでもしたらというのは条件が厳しいぞ?」
「へぇ。貴方でも難しいの?」
「違う逆だ。お前の攻撃は掠りもしない。だから俺を一歩でも動かしたら弟子にしてやるよ。」
「…………。」
「頑張れよ。」
✳︎
二回戦三組目の戦いが始まる。
「さてさて、三組目の対決はこちらの方々!!国家戦力級探索者ランキング81位、九十九悠介!!風切りの異名を持つこの男は一回戦では対戦相手を切り刻んだ!!」
「対して、こちらは英雄級探索者ランキング143位、鳴門調!!少し特殊な音を操るユニークスキルをお持ちだぁ!!」
両者が武闘場へと上がる。
「では準備は良いですか!?レディーーーーーー、ファイッッッ!!!」
実況者の開始の合図と共に、九十九は自身のユニークスキル『
風切音が会場に響き渡る。
武闘場の地面は刃物に切り裂かれた様な跡がつく。
鳴門も自身のユニークスキル『
音、つまり空気の振動で壁を作る。
更に威力や防御力を高めるために共鳴させ、九十九の風の太刀を完全に防ぐ。
「鳴門ちゃんやるネェ!そんなちっこい体してお父さん心配だったけどサァ〜。」
「誰がオトンや!!」
「あひゃひゃ!!ナイスツッコミ!!」
「戦い中にふざけんなや!」
「あひゃひゃ!まぁ良いじゃないの。そんな余裕もなきゃ人生つまんないヨォ〜。」
「結構です!その余裕顔、泣かせてみせます!!」
「あーららー。お父さんの事そんなに嫌いなのー?じゃあこちらからもやっちゃうヨォー!」
九十九はユニークスキルを発動する。
--------------------------------------------------------------
『
・風操作系スキル。
風の太刀を作り出し、魔力、魔力操作の練度により作れる数と強度が変わる。
--------------------------------------------------------------
『
・音操作系スキル。
音波を操作し、それを共鳴させる事ができる。魔力、魔力操作の練度により音波の大きさや器用さが変わる。
--------------------------------------------------------------
次第に風切り音が大きくなっていく。
風の太刀の数が先程より多い。
細かな風切り音が共鳴し、会場に轟く程の音になっている。
「いくヨォ〜。武技『
魔力を高め、闘気と混合する。魔力は言わば闘気の燃料となり、威力にブーストをかける。
「よ、け、きれへん!!」
そう判断した鳴門は、音をどんどん反響、共鳴を繰り返す。
空気が曲がって見える程の超振動で九十九の武技を受け切る。
「はぁはぁ。まだまだ。ウチは負けられへんのや。優勝して日本一にならんと!!」
「ほーう。鳴門ちゃん凄いネェ〜。けどまだまだ戦いはこれからよ?いくヨォ〜。」
九十九は風の太刀を無数に作り出し、それを一本の巨大な刃物へと形成する。
「ちょっちキツイかもナァ〜。武技『
巨大な風の太刀が鳴門へと襲う。
全力でスキルを使い、抵抗するも限界を迎え、袈裟斬りの様に鳴門の体は斜めに切れた。
審判AIの判断で、勝者九十九のコールが鳴り、場内は更に熱がこもった。
--------------------------------------------------------------
次回は
不動VS羽柴戦です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます