第49話 ハンターズバトルトーナメント-1

 世間では探索者とはどんな事をしているのかを全く知らない人も多い。


 魔石から取り出す魔力という電気に変わるクリーンなエネルギーを誰がどの様にして採取するのか本当の意味で知らないのだ。


 ダンジョンという化け物が跋扈する危険なエリアで野蛮にも生活の為に殺し回っているとしか考えていないのだ。


 日本政府の様子見、海外の探索者への待遇を広報しない省庁の責任だった。


 何も知らずに勝手気ままに平和に暮らせるという現実は、支えている者の痛みから目を背けさせる。


 そんな時、ハンターズギルドの不正と探索者への扱いの酷さが露呈し、世間の目は探索者へと向けられた。


 無関心から哀れみへ変わり、少しはマシになった状況だろう。


 テレビ局は、現状哀れみの目で見られている探索者という職業に世間が興味を持っている事に気がついた。


 赤龍と黒鬼の事変。


 この二体の超危険魔物がダンジョンから解放され、国民を襲い、大量の探索者が亡くなった記憶も新しい。


 今こそ探索者の事を深く知るべきだと考えたのだ。


 では探索者について一番興味を持つキッカケとなるのは?−−−−−−−−そう戦闘だ。


 視聴率も取れ、探索者という社会の礎について知ってもらえる一石二鳥の番組。


 それが『ハンターズバトルトーナメント』。


 国家戦力級探索者を7名、英雄級探索者8名、最強の男、ランキング1位阿空不動の総勢16名の戦いが今始まる。


          ✳︎


「始まりました。ハンターズバトルトーナメント!!司会はこの私、羽島賢一はしまけんいちでございます。では早速、探索者の方々にご入場頂きましょう!!」


 ステージの奥から探索者が1人ずつライトアップされ入場していく。


 まずは、英雄級探索者から次に国家戦力級探索者が次々と入場する。


 探索者15名がステージに並び終え、最後の入場者は不動である。


 「誰かが言った。戦場には闘神がいると。苛烈で最強、世界探索者ランキング堂々の1位!!その男の名は阿空不動ぉお!!!」


 「岐阜県を滅した憎き赤龍を簡単に討伐し、国家戦力級探索者や多くの探索者の命を容易に奪った黒鬼をその狂気で屠った男。正に最強。この世に降りてきた闘いの神。」


 「そんな男の戦いが見られるのはこの番組だけ!!今宵は皆様、目を見開いてその衝撃を焼き付けろ!!ではハンターズバトルトーナメント開始します。選手紹介から。」


 

 「一回戦初戦はこの2人!!まずは国家戦力級探索者、ランキング30位、鹿羽しかばねサイモン!」


 「続いて、英雄級探索者、ランキング112位、門前紫音もんまえしおん!!」


 「ではお二方、準備出来てますかぁ?レディイイイーーーファイッツツツツ!!」


 第一回ハンターズバトルトーナメントが開幕した。




 




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