第48話 番組への出演交渉
菓子折りを持って、番組出演の交渉の為、阿空家へ向かう3人。
高層マンションに入る為に、管理人の許可、阿空家の大黒柱である父の
玄関の呼び鈴を鳴らすと、不動本人が出てきた。
「どうも阿空不動さん。私はTSSテレビ局長の
「プロデューサーの
「ディレクターの大野正俊です。よろしくお願いします。」
3人は笑顔に努めて、不動へ挨拶をする。
「あぁよろしく。それで誰が君嶋さんをウチに偵察させたんだ?」
大野の顔が一気に青白くなり、吹き出る汗。
「わ、わたしです。その節は大変ご迷惑をおかけしました。こんなことになると思いもせず、誠に申し訳ございません。」
「まぁ俺の事は良い。だが万が一にも家族にちょっかいをかけるなら……。」
不動はその言葉の後に、ほんの少しだけ魔力を高める。
神の末席とはいえ亜神である不動の魔力に対して、人間である大野には抗う術もなく、泡を吹いて気絶した。
「え、え?」
「そいつには家族が世話になったからな。これでチャラにしてやる。」
「そ、そうですか。高梨くん、大野くんの面倒を見ててくれ。あ、これはご迷惑へのお詫びと交渉へのお礼です。東京でもとても好評な有名店の美味しいケーキです。」
「ありがとう。では部屋に入ってくれ。詩秋、茶を出してくれるかー?」
「もうおにいったらやりすぎだし、無愛想すぎ。どうもすみません。今からお茶出しますね。リビングのソファに座ってお待ちくださいね。」
可愛い笑顔に局長とプロデューサーの胸が高鳴る。
「おい。分かってるな?うちの妹は世界一可愛いが、好意を抱く事はおろか、視界に5秒でも入れ様ものならその時は…。」
「も、申し訳ない。あまりにキュートで。」
「た、確かに有名女優にも勝る笑顔でした。すみませんでした。」
「分かれば良い。で、交渉とは何だ?」
「はい。我々の局で探索者の番組をやろうと思い、日本の名だたるトップランカーには出演して頂くようになっております。それで探索者の魅力を伝えるには何が良いと考えた結果、探索者同士で戦ってもらうのが一番視聴者の興味を惹けるのかなと思いました。最初はトークなどを考えていたんですがね。それで不動さんにはどうしても出演していただきたく交渉に参りました。」
「出たくはないな。でも探索者には少し興味がある。どれ程の強さなのかも知らないしな。それで、戦って傷ついた場合どうするんだ?」
「その件についてですが、ハンターギルドから特殊なフィールドを展開する魔道具をお借り出来ました。フィールド内の如何なる傷や死亡級の攻撃も無かった事に出来るという代物です。まぁ発動するには色々と条件もあるので、かなり限定的な使い方しか出来ませんがね。」
「なるほどな。戦いの形式は?」
「トーナメント戦にしようと思っています。わかりやすいですからね。総勢15名の国家戦力級探索者、英雄級探索者をお呼びしました。皆様ユニークスキルをお持ちの強者ばかりです。」
「ユニークスキルね。ほんの少しだけだが楽しみだ。ガッカリしないことを願う。」
「ランキング1位の不動さんに比べたら見劣りするかもしれませんが、それでもトップランカー達ですから、国民に探索者を知って貰うには有意義な番組となるでしょう。」
「俺は全員一斉に相手にしてもいい。それくらいのハンデ、いや、ハンデにすらならないかもしれないが。」
「は、ははは。流石はランキング1位です。不動さんの事を皆様に知って頂きたいですからね。シードは無しで企画していますよ。」
「ああ、それで良い。楽しみだ。」
不動の顔に狂気が見え、2人は少しだけ後悔した。
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