第34話 阿空家集合

 親父とお袋が帰ってきた。

久しぶりの対面だ。3年の間心配かけた。


 「ただいまー。詩秋いるかー?ご飯買ってきたぞー。」


 親父の元気な声が聞こえた。


 「おう。親父、おかえり。」


 「ふ、不動なのか!本当に?」


 「あぁ。不動本人だよ。色々と心配かけてごめん。」


 親父の少し後にお袋が来た。


 「たーだいまー。すぐにご飯にす、る、わ、ね…………不動………。ほんとに不動?何処に行ってたのよ。あんたもう急にいなくなって。もう心配したんだから。あんたがもうこの世に居ないんじゃないかと。でも信じられなくて……」


 泣き崩れる母を不動はそっと胸に抱き寄せる。

 親父も詩秋も泣き崩れる玲香の背中にそっと手を置き、4人で再会の喜びを分かち合う。


 「お袋も親父も詩秋も心配かけて本当にごめん。でもこんな世の中になって、門が家の近くに現れたのを見たら居てもたってもいられなくて。軽率だったとは思う。だからごめん。」


 「あなたが何ごともないならそれで良いのよ。元気で居てくれるなら私達はそれで良いの。生きていてくれて本当に良かった。」


 「そうだよおにい。おにいが元気なのが一番。というかー、あんなに強くなっちゃうなんて思わなかったけどね。」


 「はっはっは。不動は何でも出来る子供だったけど、だからこそありふれた日常がつまらなかったのかもしれないな。父としては叱りたい所だけど、不動はもう大人だ。一人前の男として責任を持って頑張りなさい。」


 4人共笑顔になる。

不動はこれまでの出来事を語った。

ダンジョンでの出来事、使命、赤龍のこと。

そして、思い出した異世界での出来事と約束。


 「そうか。不動がいなくなって、色々あって昔のような平和は遠い世界になった。でも家族が居れば何でも乗り越えられるよ。」


 「お父さんの言う通り。みんなが居れば大丈夫だよ。おにいもお母さんもお父さんもみんな元気ならさ。」


 「そうよね。お母さんもそう思うわ。みんなで仲良く元気で居ればそれで良いのよ。」


 「だな。けど、俺は俺にやるべきことがあるなら迷いなく行くよ。俺は日本や世界より家族が大事だ。でもその為にも世界を守らなくちゃ。」


 「お父さんもお母さんも詩秋も応援してる。頑張りなさい。」


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 都内某所。


???「おい。ここにゲートが出来てんじゃん。入ってみようぜ。」


???「辞めとこうよ。怖いよ。」


???「良いから、良いから。大丈夫だって。鬼が出る訳じゃあるまいし、出ても小鬼くらいだって。スキルとかステータスが手に入るらしいし、行くしかないでしょー!」


???「ねぇ。何かゲートが赤くなってない?これって、やばいんじゃないの?ねぇ!!」


???「マジ?おい!逃げるぞ!!っぐが!?」


???「ひぃ!!手が手手手手がっ!!ゲートから出てる!!」


 頭はゲートから出た腕に掴まれる。

人間の頭の大きさを超える手は鋭い爪が生えていた。


 大凡人間の手には見えない化け物の赤黒い手が見えた。


 そのままぐしゃっと頭は握りつぶされる。


 「太郎くんが、、、ひぃ!誰か助けて、ママ、ママ、ママぁあああああ!!!!」


 グシャッバリバリと肉が潰れた音と骨が砕かれた咀嚼音が夜の街に響いた。


 続々と鬼はゲートから飛び出す。

鬼の群れはそのまま夜の都内を襲い始めた。




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