第25話 29階層闇王シルヴァとの戦いー前編
29階層へ到着。
扉を開くと今までのど広いフロアとは違い、箱型の少しだけ開放感のある部屋だった。
薄暗いその部屋へと入った瞬間、松明に火が灯った。
紫色の珍しい灯火。骸骨で作られた松明は異様な不気味さを放つ。
「侵入者か。よく来た。さっそく死合うとしようか。」
「闘ろうか。まぁ挑戦者はお前だけどな。せいぜい楽しませてくれや。」
遥か上から目線な言葉に闇王は微笑む。
「ふははは。久しく忘れていたよ怒りを。その傲慢な心をへし折ってやる。」
闇王から解き放たれた魔力とプレッシャーに部屋の頑丈な壁が細かく震え、ヒビが入る。
存在格として言えば間違いなくS級。
それも中位から上位はある。おそらく単騎で一県を容易に壊滅させられる存在。
つまりは不動とは同レベルの存在。
戦歴で言えばかなり差がある。
天眼で闇王のステータスを覗く。
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【闇王シルヴァ】
存在格:S[79]
状態:健康
HP:3600/3600 MP:3500/3500
物攻:1300
防御:1400
魔攻:2150
魔防:1500
敏捷:1360
幸運:20
【環境耐性スキル】
『暗闇吸収』[最上位]
【魔法】
『闇属性魔法』[超絶級]
【ユニークスキル】
『暗黒武闘』
『闇化』
『王の威圧』
『暗黒強化』
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「覗いたか。まぁよい。では行くぞ侵入者!!」
その言葉を合図に、一瞬で不動の元へと移動し、拳に魔力を込め殴りかかる。
暗黒武闘は、己の闘気と魔力を混合し、闇の特性である力の阻害、吸収を最大限に高める事を武器とした武である。
不動としては、体に当てられても、
長引けば長引く程、不動には不利な戦況となる。
暗黒強化は字の通り、周りの環境が闇に包まれている状況の時に限り、自身にバフをかけられる。
闇王。
流石は闇の王だけに、凶悪な闇を利用したスキルのコンボ。
スキル同士が相乗効果を生み出し、自身に圧倒的な優位性を持たせている。
そして、闇化。
雷化に名前が似たそのスキルの厄介さに不動は苦戦することとなる。
闇王が不動に殴りかかるが、躱される。
速度は不動が上。しかし、武闘の技術は闇王が上だと一瞬で判断する。
「へぇ。その武闘、真似させてもらうぜ。」
長引けば長引く程、不動に不利になる状況にも関わらず、これ幸いと闇王の経験を糧とすることを目的とした。
闘気に触れないように、攻撃を当てられないように意識しながら相手の戦闘技術を模倣する。
感覚的に魂魄結界では闇の特性である力の阻害のせいで上手く防ぐことはできないと感じた。
そして攻撃を躱す作業を10分程続けた。
闇王の武闘技術の発表会のような時間が突如として終わりを告げた。
「化け物め。我が武闘を愚弄するのか。同じ動きをしよって。見よ。我が本気を。」
いよいよもって、闇王が闇化し、全力を持って不動を屠らんとする。
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