第24話 28階層の守護兵

 28階層は洞窟のように岩石と土で出来た空洞で、左右は8メートルほど。

 高さは10メートル以上あり、戦う分には狭い事はない。


 少し進んでいると前方からゴーレムのように大きく、しかしながらしっかりと生物のような肉体がある魔物がこちらに集団で向かってくる。


 七体の巨体は、その太い腕は焦げ茶色の皮膚でボディが赤、青、黄、緑、茶、白、黒の七色に分かれており、下半身は蜘蛛のような見た目をしている。


 まるで守護兵のように行手を阻む。

それぞれが重装騎兵のような立ち回りをする。

 不動の周りを囲み、それぞれのボディの色に対応した属性魔法を手に持つハルバートへと込める。

 火、水、雷、風、土、光、闇属性の魔力が各々の特性にあった強化がされる。

 火属性は苛烈な攻撃力を。

 水属性は静水のような無形を。

 雷属性は落雷のように熾烈で。

 風属性は何者にも掴ませない自由を。

 土属性は堅牢な頑丈さを。

 光属性は仲間を救う希望の光を。

 闇属性は敵に不吉さを。


 七体の守護兵が役割を持って攻めてくる。

物理特化型の火、雷、土が近接をし、水、風が

そのサポートにまわる。

 光は味方に回復とバフを、闇はこちらへデバフをかけてくる。

 デバフに関しては、魂魄結界で無効化する。


 そして今回は、雷化を使用せず戦おうと思う。

 いくつもの連携で攻めてくる相手に、圧倒的な身体能力で相手をしたのでは面白くない。

 今回は魔法も極力なしだ。


 「手加減してやる。せいぜい気張れや。」


 火の守護兵はハルバートに炎を纏い、刺突で腹部を狙ってくる。

 半身で避け、ハルバートを弾く。

それと同時に雷の守護兵がかなりの速度で横薙ぎで足元を掬おうとする。

 小ジャンプでそれを避けるが空中では少しの隙が生まれてしまう。

 瞬時に刀で雷の守護兵へと空中で斬りかかる。


 土の守護兵がそれをガードする。

 

 光の守護兵が全員にバフをかけ、更に奴らの動きは良くなっていく。


 背後から水の守護兵が突きで狙う。

地面へと着地し、刀を背後へと回し受け止める。


 すぐさま弾き返すが、風の守護兵が追随し無防備になった不動の胸元へと突きを入れる。


 かなりの連携に絶対絶命の危機。


 かと思われたが、無限収納から左手にガントレットをはめる。


 手の甲で風の守護兵の突きをガードする。


「かははは。すげぇ連携だなぁ。少しだけ本気を出すぜ。」


 刀を無限収納にしまう。 


 20階層ボスの報酬で得た戦神崩拳いくさがみのガントレットを両手に装備する。


 「たまには、素手喧嘩ステゴロよぉ。楽しませてくれや!!」


 刹那、不動の姿が掻き消え、火の守護兵の正面へと移動した。

 

 「いくぜ。」


 直後、爆発に似た音が響き渡る。


火の守護兵の腹部から胸にかけ、大きな穴が開く。


 あまりの正拳突きの威力に空気は瞬間加熱され、一気に膨張した。


 その大きな穴からは焦げ臭い煙が吹き上がり、不動の拳が見える。


 火の守護兵が死に絶え、守護兵の連携が少し崩れる。


 同じ要領で雷の守護兵の後ろに回り込み、戦神崩拳を右手の手刀で構える。


 守護兵の左肩から右脇腹へと袈裟斬り。

大きな音を立て、分断される。


 そのあとはタンクを失ったパーティの殲滅と同様に簡単だった。


 物理特化の兵が死に、かなりの戦力を失った守護兵の連携はズタボロ。


 これで雷化していたら勝負は一瞬だっただろう。


 勿論、魔法があれば戦いにすらならなかった事だろう。

 それはただの蹂躙だ。


 徒手空拳で守護兵を撃破する。


 全ての守護兵を倒した。


 欠伸を押し殺した不動は次の階層へと向かう。



記憶解析度46%.









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