第23話 アンデッドの群れ-後編

 雷化をしたまま、身体強化スキルを発動する。音速を優に超え、空気が膨張と圧縮を繰り返す。

 移動するたびに衝撃波が生まれ、アークヴァンパイアもリッチーも吹き飛ぶ。

 リッチー、ヴァンパイアも負けずに魔法を繰り出すが、音速を超えた不動には当たりはしない。

 ヴァンパイア百体が一斉に魔法を行使する。

その景色はさながら、夜空そのもののようで

正体は闇属性魔法の集合体である。

 上級魔法といえば、本来であればB級魔物でも喰らえば瀕死に陥るほどの威力。

 それを百体ものヴァンパイアが一斉に放つのである。

 闇属性上級魔法、暗黒球ブラックボール

 ダサい名前とは裏腹に、闇属性魔法の所以たる相手の力を奪うデバフの塊。

 当たれば超弱体化する魔法を辺り一面に放つ。


 「なんたる光景だ。真っ黒。」


 驚きつつも、1秒で360メートルは移動できる不動にとっては止まっているに等しい。

 何せ本当の闇そのものではないのだ。

ならば、対処はできる。そう簡単だ。


「そんなもん全て躱して、斬り裂けばいいだけだろ。イージーもイージーだ。」


 雷化身体強化の重ね技、装備品のバフにより一瞬で百体ものヴァンパイアが動かぬ姿になるのは当然だった。


 全てのヴァンパイアが死体となり、残るはリッチー。

 ニヤニヤと白い歯を剥き出しにして狂気の笑みを浮かべる。

 百体のリッチーがかくはずのない汗をかく。

慌てて一斉に魔導スキルを行使する。


 最大効率による数の暴力。


 絶級魔法が七色の神秘的にとすら思う景色を生み出す。

 迫り来る魔法に余裕の笑みを浮かべ、不動もまた魔法を行使する。


「本当は火属性魔法の方が得意なんだ。雷より遥かに感覚が良いんだよ。」


 百もの絶級魔法を一つの魔法で迎え撃つ。

不動は自身に魔神功で重厚なバリアを張る。


「神の炎を見た事はあるか?『火属性神級魔法、炎魔地獄道えんまじごくどう!!』


 煌々と燃える太陽に似た円形の黒炎が辺りを燃やし、リッチーの魔法も飲み込む。

 魔法という概念すらも燃やし尽くし、例え絶級魔法でも小枝の如くすべからく燃やし尽くす。

 

 地獄の炎はやがて全てのリッチーの魔力ごと燃やし尽くす。


 神の炎に対抗出来るのは神だけ。

その他有象無象が寄っても象に鼠が立ち向かう事ができない様に冷酷、残酷に存在を消される。


 神級魔法とはそのレベルなのだ。

魔法としての格が違う。おそらく神格を持たない相手には今後苦戦する事はないだろう。


 太古の偉大な魔導師達も例外ではなかった。


 結局魔法対決を行い、華麗に勝利した不動は

自身が燃やし尽くした道をひたすらに進むのだった。


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『火属性魔法』が[絶級]から[神級]へと進化しました。



『レベルアップしました。現在のレベルは75です。』


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※記憶解析度…45%

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